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山の動物たち

数日前まで鳴いていたツクツクボウシの声もいつの間にか聞かれなくなり木の葉が
色付き始めていた。 ススキの白い穂とハギの花が森を秋の装いへと変えていた。

2014年9月22、23日で八ヶ岳の夏沢峠にある「山びこ荘」へと出掛けた。
それは登山が目的ではなく、山の動物たちモモンガや冬眠前のヤマネに逢いに
行くためだった。

本沢温泉

八ヶ岳は南北におよそ30キロある山脈で、交通の便が良くいくつもの登山口がある。
最も一般的なのは八ヶ岳の西側、美濃戸口から主峰・赤岳を目指すコースだろう。

しかし、今回は八ヶ岳の森を歩き山の動物たちに逢いに行く旅で、八ヶ岳の東側
「稲子湯」から入山し静かな「しらびそ小屋」と「本沢温泉」を経由して峠へ向かった。

山びこ荘

八ヶ岳は夏沢峠を境にして北八ヶ岳と南八ヶ岳に分けられる。
その標高2400mの峠に建つのが「山びこ荘」でモモンガやヤマネなどが見られる。

小屋の外壁と内壁のあいだに巣を造り暮らしており、小屋の外にエサ台が置かれ
ているため小屋に泊まれば容易に見ることが出来る。

夏沢峠は通過点、この小屋に泊まるお客さんは殆どがモモンガのファンばかり。

モモンガ

壁に設けられた本棚の上には小さな穴があり、そこから部屋の中にも動物たちが
やって来る。 本棚にはエサとなるヒマワリの種が置かれているためだ。

モモンガもヤマネも夜行性の動物、夕食を済ませると静かに主役の登場を待った。
カサッ、カサッ、 「来た!!」、 「モモンガだ!!」、 「静かに!!

モモンガは冬眠せず秋はコメツガやシラビソの球果を食べ、冬は針葉樹の冬芽を
食べて暮らすそうだ。 巣から起きるとまずヒマワリの種を食べ森へと出勤する。

ヤマネ

背中に黒い筋、これはヤマネ。 この小さな動物、なんと国の天然記念物である。
日本が大陸と陸続きであった頃に侵入してきたもの、日本人よりずっと前から
この日本列島に暮らし続けている貴重な動物である。

ぼちぼち冬眠の頃だが、小屋番の方が夕方から薪ストーブを焚いて下さり
その日は何度となく本棚にやって来た。 げっ歯目、ヤマネ科、ヤマネ属。

エサ台

こちらは早朝5時、森から帰ってきたモモンガだ。 毎朝5時には帰宅するそうな。
真ん丸い目と大きな尻尾がとても愛くるしい。 げっ歯目、リス科、モモンガ属。
完全な樹上生活でしかも夜行性だから滅多に見ることが出来ない動物である。

ウソのメス

外のエサ台には鳥たちも頻繁にやって来る。 これはアトリ科のウソのメス。
オスは喉元が赤い。 針葉樹の森でピュー、ピューと口笛を吹くように鳴く。

コガラ2

これはコガラ、カラ類では一番小さな鳥で黒いベレー帽に薄い蝶ネクタイが目印だ。
亜高山帯や針葉樹林で見かけることが多い鳥である。

硫黄岳山頂

翌朝は快晴、夏沢峠より1時間の距離にある硫黄岳(2760m)に上がった。
視界は360度、日本百名山を30座も数える大展望であった。

好天に恵まれ今年も山の動物たちに逢えて良かった。
花ありて山に憧れ、雪ありて山は美しく、君たちが居て山は楽しい。
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不思議発見 「君は誰?」

ご無沙汰しておりました。 皆さんもお変わりなく元気で大人の遊びを楽しまれていたでしょうか?
富士の雪解も見られる頃となり、しばらくお休みしていたブログに再び目を向けたしだいです。

街中にあってもすがすがしさを感じる季節、山にあっては新緑がまばゆい季節。
この時期、家でじっとしていろと言うのは無理な話、三日と空けず野山を駆け回る日々。

5月の定例行事はオオミスミソウの佐渡島。今年はツアーではなく個人ガイドで佐渡に渡った。
4名のお客さんをアオネバから石花へとご案内した。小回りが利き、野生のトキにも出会えた。

休耕田近くの枯れた高木に2羽とまっていた。 頭から背にかけての灰色は繁殖期の証し。
 「がんばれ、ニッポン!!」  トキの学名はニッポニア・ニッポンだ。

野生のトキ

そして、もうひとつの行事はニリンソウの上高地。 5月下旬~6月上旬、梓川左岸の自然探勝路
の両脇はおびただしい数のニリンソウで埋め尽くされる。

今日は僕が上高地で出会った花たち「君は誰?」を解説していきます。

小梨平から明神を経て徳本峠への分岐を過ぎると探勝路は増々緑が濃くなっていく。
梓川の川面はきらめき、河畔のヤナギもカツラの若葉も初々しい。 風薫る5月を肌で感じ取る。

心地よい鳥の鳴き声に足を止めその主を探すと、そこには色鮮やかなキビタキの姿があった。
喉元からお腹にかけてのオレンジ色がはっきりと見てとれる距離だった。 
ピッコロを奏でるような美しい鳴き声に美しい羽、天は二物を与えたもうた。

ふと、足元を見ると緑のマントをまとった怪しいふたり、「君は誰?」

サンカヨウ

これはサンカヨウの蕾、漢字では「山荷葉」と書く。 荷葉とはハスの葉を指し「山の蓮」ということ。
確かにサンカヨウの葉は花と比較すると大きいが、どちらかと言えばフキに似ている。
和名で理解しがたい言葉は漢名からきていることが多い。漢方・生薬が由来しているのだ。

続いてはこちら 「真上から失礼」 ふっくらと膨らんだ白い米粒 「君は誰?」

ツバメ

これはツバメオモト(ユリ科)の蕾。 亜高山帯のやや暗い針葉樹林の中でよく見かける。
ユリ科は3数性、花被片は6個あるが展開する前はこんなに小さくおさまっているのだ。
果実は濃い藍色に熟すものと黒く熟すものがある。 何故かな?

近年、上高地の主役になりつつある猿、今回もたくさんの猿たちを見た。
 「おい、ちょっと火を貸してくれないか?」 「禁煙しろってやかましく言われているけどね。」

DSC00062.jpg

冬に上高地に入るとエゾヤナギの樹皮をむいて食べる猿や梓川の河原で小石をひっくり返し
水生昆虫を食べる猿をよく見かける。
厳しい冬を耐えた猿たちは春にようやく美味しい草の茎や木の芽を食べられるようになる。

親子猿

人間を警戒しなくなった上高地の猿たち、母猿は何を見つめているのだろう。
子猿のうつろな顔と対照的だ。 その子猿の肩を抱く母の左手が何とも微笑ましい。

 「あんた、また煙草吸って、この子に影響するんだからね。」 「もう知らないよ。」
猿は冬の間、妊娠しており餌が採れる春に出産する。 すべては自然の摂理の中にある。

そして、初夏の上高地で忘れてはならない花がこちら。
ニリンソウの葉で埋め尽くされた緑一色の林床で見つけた小さな花、「君は誰?」

ミドリ

これはミドリニリンソウと呼ばれるニリンソウが「先祖返り」した花で特別の花ではない。
上高地では注意して探せば比較的らくに見つけ出すことができる。

「先祖返り」とは生物が進化の過程で失っていった形質が子孫において突然現れることをいう。
キンポウゲ科の植物はまだ進化の途中にあり、ニリンソウの白い花弁状のものも萼片である。

続いてはこちら、地中から何本もの細い紐状のものが立ち上がっていた。 「君は誰?」

コチャルメ

これはコチャルメルソウ(ユキノシタ科)の花だ。 魚の骨ような花が実に面白い。
果実の形が夜鳴きそばのラッパ「チャルメラ」に似ることからチャルメルソウの名がついた。

地域によっていろいろなチャルメルソウがあり、日本においてはその数およそ11種。
最も多く見かけるのがこのコチャルメルソウだろう。 

小さな花にも花粉を運ぶ虫はちゃんとやって来る。 どんな植物にも共生する昆虫がいるものだ。 
チャルメルソウの相手はキノコバエ。 足が長いのでハエというより蚊に似ている。

花が魚の骨のようになっているのは足の長いキノコバエが足をかけ易く配慮したのだろう。
自然とは恐ろしいほど理に適っている。 そこからすると人間社会は矛盾だらけかも知れない。

二輪草

上高地バスターミナルから徳沢までの往復4時間、これでもかという程のニリンソウを見た。
他にもミヤマエンレイソウ、ザリコミ、エゾムラサキ、レンプクソウ、ミヤマキスミレなどが見られた。

その夜は新穂高温泉に宿をとり、山菜と飛騨牛をいただき満腹感と幸福感に包まれて熟睡。
翌日、飛騨の福地山1671mに登った。 穂高連峰を目の前に望む展望の山である。

天気は快晴、早る心をおさえ登山口へ、尾根まで上がると焼岳が顔を出した。
深山に春を告げるムラサキヤシオが咲く登山道、ブナの若葉が陽光を透かして輝いていた。
そして、ここにも不思議発見、「君は誰?」があった。

ブナハ

 「おやっ、ブナの葉に美味しそうなデザートが!!
ふわふわの産毛を身にまとった赤い玉、砂糖をまぶしたお菓子のよう。
これはいったい誰が造った芸術作品なのか?

アカゲ

これはブナハアカゲタマフシ(橅葉赤毛玉付子)というブナの葉につく虫こぶだ。
この中にはタマバエの幼虫が暮らしている。 いろんな虫こぶがある中でも美しい虫こぶである。
幼虫が羽化すると虫こぶは落下するためこの季節しか見られない。
この登山道一帯のブナの葉には数えきらないほどのブナハアカゲタマフシが見られた。

ブナの若葉にあまりに目立つ鮮やかな色、タマバエは何故この色を選んだのだろう?
秋に熟す木の実は殆どが赤い、それは種子の運搬役である鳥に見つけてもらうため。
この虫こぶ、外敵に食べられてしまわないだろうか?

あっ、そうか。 これはタマバエが選んだ色ではなく、ブナが対抗措置として
タマバエの虫こぶをあえて赤くし、鳥に取り除いてもらうための色だったのか。 
なるほど、深く探れば自然は本当に面白い。

登頂することだけに捉われず五感を働かせて山に登ればいろんなものが見えてくる。
こんなに楽しい大人の遊びは他にないだろう。

ニホンカモシカ

お久しぶりです、自然塾生の池澤です。

先日ガイドで行った山梨県の山中でニホンカモシカに遭遇しました!

2014042011000000(1).jpg


しかも一日に二頭!!

ニホンカモシカは好奇心が強く、他の獣よりも逃げにくい傾向はあるのですが

ここまで近距離で観察できるのは相当珍しいと思います。

私の実家で飼っている犬よりも近く、迫力でした。

↓↓ 画像クリックで拡大できます ↓↓ 

dds.jpg


10日ほど前の下見山行の時にも遭遇した固体なので、私の匂いを覚えていたのか

リュックサックの匂いを嗅いでいました。二分ほどで森の奥の方へ戻っていきました。

ニホンカモシカは名前はカモシカですが、ウシ科の動物でヤギに近い種です。

瞳をよく見るとヤギやヒツジと似ていることが分かります。

目の下にあるのは眼下腺(がんかせん)と呼ばれるもので、においのある液を出し、それを

木や岩にこすり付けて他のカモシカに縄張りを主張します。

私も危うく触ってしまうところでしたが、野生動物からの感染症なども報告されているので

お互いのために触るのは厳禁です。適切な距離感は何事にも大切なことだと思います。

いやー! しかし近かった! とてもよい体験でした! 

皆さんも登山中(足元に十分注意しながら)カモシカを探してみてください。


テーマ : アウトドア
ジャンル : 旅行

上高地のミドリニリンソウ

長期にわたりお休みをしていましたが、またツアーの合間をみて書き始めます。

5月の下旬、何年かぶりに上高地のニリンソウ群落を見に行きました。
氷壁の宿「徳沢園」に泊まり、のんびり、ゆっくり初夏の上高地を歩きました。

梓川河畔

東海環状と東海北陸道を乗り継ぎ高山へ、平湯の「あかんだな駐車場」から
濃飛バスに揺られて新緑の上高地に入る。
夏は大勢の登山者や観光客で賑わう上高地もこの時季は静かなたたずまい。

薄曇りながら寒さは感じられず、カラマツとシナノザサの小径を歩いた。
足下に咲いていたのはユリ科のクルマバツクバネソウ。

さて、この緑の花の花弁はどれか、わかるかな?

クルマバツクバネソウ

萼片と花弁がよく似てはっきりしないものは「花被片」と呼ぶようであるが、
そのうち萼片らしきものは外花被片、花弁らしきものを内花被片とするようだ。

それで、この花の外花被片は緑色をして、やや幅が広く下へと垂れ下がった部分だ。
内花被片は外花被片の間から下へと湾曲したひも状の部分であるが、確認できるかな?

雄しべは黄色の部分で、雌しべは黒色で秋には羽子板の羽根に似た実をつける。

ニホンカモシカ

「ん?、何やら見られている気配」 ふと見ればニホンカモシカ君ではないか。
国の特別天然記念物である。 捕らわれる心配がないことを知っているのか
いつも遠くからじっと僕たちを見ていることが多い。
そして、僕たちも気づかぬまま通り過ぎていることが多い。

「歩きながらよくそんな小さな花が見つけられるね。」と、よく言われる。
これは「フォース」と呼ばれる「理力」であるらしい。

場数を踏み、慣れてくると自然に見えてくる「心の目」のようなものだ。
研ぎ澄まされた感性、それは自然観察によって備わってくる能力である。

ニリンソウの小径

大正池から田代池を経て「帝国ホテル」辺りに差し掛かるとやっとニリンソウが見られた。
他にはシロバナノエンレイソウ、ミヤマスミレ、ウスバサイシン、アオチドリなどなど。

小梨平を過ぎると道は細くなり、両サイドはニリンソウで埋め尽くされていた。
今回の「自然塾」の目的のひとつは「ミドリニリンソウ」を見つけることであった。

緑の中に緑の花、目を皿のようにして探し始めたが・・・・意外と簡単に見つけられた。

ミドリニリンソウ(1)

葉と花が同居している。 君は花なの? それとも葉っぱなの?
白くトリミングされた美しいミドリニリンソウと出会った。

キンポウゲ科の植物には花弁のように見える部分が花の構造としては萼片であったりする。
キンポウゲ科はまだ進化の途中にある植物と考えられている。

永い間、植物は風に花粉を運んでもらっていたが、地球に昆虫の時代がやってくると
受粉の手段を虫に託した方が効率が良いと考え、花をつけるようになった。

今まで葉であったものが萼片や花弁や雄しべや雌しべにと変化させていった。
緑の花はもともと葉であったものが先祖帰りしたにすぎない。

花弁の数も形も配色も様々あり、見つけ出すのがとても楽しい作業であった。

ミドリニリンソウ(2)

明神を過ぎ、徳沢近くで再び梓川の左岸が近づくとベニバナイチヤクソウの群落がある。
しかし、今年はまだ一輪も咲いていなかった。 ここもまた花は遅れていた。

そして、もうひとつ楽しみにしていたのは徳沢にあるハルニレの花だった。
いつも鈴なりとなった果実しか見たことがなかったので、どんな花をつけるのか
是非、見てみたいと思ったが・・・・花はもうすでに終わっていた。

どうも花は3月~4月頃に咲き、ひと月で果実となってしまうようだ。
一見、若葉の芽出しのように見えるが、これは翼を持った果実「翼果」である。
翼の中央に種子が透けて見えるのがわかるだろうか。

時折、そのハルニレの大樹に猿が群れてハルニレの果実をむさぼるように食べていた。

ハルニレの果実

標高1400m~1600mにある上高地では春先によく猿の群れを見かける。
それはエサとなる芽吹いたばかりの軟らかな芽が豊富にあるからだ。

しかし、季節が進むと徐々に葉は堅くなる。 すると猿たちは若い芽を求めて高度を上げ
やがて槍ヶ岳の下まで上ってゆく。「山に登るだけならサルでも登る」のだ。

賢い、賢いホモ・サピエンスは山頂を踏むことだけを目的とした登山ではなく、
もう少し自然に目を向けた登山ができたなら、もっと山を楽しめることだろう。

上高地の猿

近年、上高地の猿は随分増えたように思われる。昔は登山道より奥の林で見かけていたが
近頃は登山者や観光客のすぐ近くで頻繁に見られるようになった。

暖冬で雪が少なく、ほとんどの猿が飢えることなく冬を越すことができてしまうのだろうか。
それにしても登山道で人のすぐ横を猿がすれ違っていく光景は異常な感じがしてならない。

もともとこの地は猿の暮らすエリアだが、どこまでが共存という許された範囲なのだろうか。

シウリザクラ

上高地で見るべきものの最後に「徳沢園」の玄関前にあるシウリザクラがある。
里山で咲くウワミズザクラの高所版といったところだろうか。
ウワミズザクラと比べると葉も大きければ、花穂も長く伸びる。

粗雑な造りのようにも思えるが、ここ穂高の岩峰を背にするとこの花は実に美しい。
あるべきところにある花なのだろう。
この花の開花は6月で、残念ながらニリンソウと同時に見ることはできない。


地上の星のごとく林床へ無数に敷き詰められたニリンソウの白い花。
その中に埋もれ、誰もが気づくことなく通り過ぎてしまう緑のニリンソウ。

天敵オオカミから解放されたニホンカモシカ。 年々増え続ける野生の猿たち。
太古の昔から脈々と引き継がれてきた大切な大切な命が息づいている。

そんな自然を間近に感じ取れる上高地。是非、この時季に上高地を訪れ
あなたの目で、あなたの心で日本の自然美を堪能して欲しいと思う。







花咲く季節

野山に花が咲き始めると僕は急に忙しくなる。
蜜を集めるミツバチのように花を求めて山から山へと飛び回る。
今日も今日とて三河の山へ。

数日前から昼間は外吹く風が心地よい気候となった。
今はどこに出掛けても花が見られる時である。
身近な里山でものんびり歩けば意外な発見がある。

里山は気楽に登れていろんな種類の草花や昆虫に
木々の花や鳥たちに出会えるのが楽しい。

登山道脇には直射日光や風から森の乾燥を防ぐ役割りをする
マント群落と呼ばれる低木や小高木があり、その周りには
ソデ群落と呼ばれる蔦や下草がある。

この森ではウツギ、カマツカ、ニシキギ、イボタノキがあった。
陽の当たる場所にはつる性の植物が多く見られる。
では、この森で見られたつる植物を2種、さて、何かわかるかな?

アマヅル

これはブドウ科のアマヅル(甘蔓)の花。
やや厚いハート形の葉と対生して花序を出す。

葉の形といい、色や艶といい、また葉脈の線の走り具合といい
デザイン的に優れていると僕は思う。
日本の家紋には菊や葵や桐など植物が多く意匠として使われてきた。
我が家の家紋は「丸に剣カタバミ」だが、「上がり甘蔓」でも悪くない。

秋に黒く熟すアマヅルの果実は甘くて美味しい。
(目で楽しませ、舌で喜ばせ、なかなかうい奴じゃ)

サンカクヅル

これもブドウ科の植物で、サンカクヅル(三角蔓)の花だ。
つるを切ると樹液がしみ出すことから別名をギョウジャノミズという。

秋には葉が濃い赤色となり、よく目立つ。
紅葉や木の実を探して森に入ると、しわしわになった三角形の葉が
登山道に落ちているのをよく見かける。
花には甘い香りがあったと記憶しているが・・・・

いつも「自然塾」においては辺りを注意深く見ながら歩く。
「何かないか、何か面白いものはないか」と、
1時間の行程を3時間かけてしまうことも多々ある。

今日もこんな不思議なものを見つけた。

オーク・アップル

これはコナラにできた「虫こぶ」で、ナラリンゴタマバチの仕業だ。
虫こぶの形がリンゴに似ているため「オーク・アップル」とも呼ばれる。

この昆虫はコナラ、ミズナラ、カシワなどの枝に産卵する。
クリの木にはクリタマバチが産卵する。
昆虫たちにはそれぞれご用達の木があるのだ。

新緑の季節は昆虫も忙しい時、エゴノキにはオトシブミが
巻いた葉がいくつも、いくつもぶら下がっていた。
エゴノキはまだ蕾であったが、こんな木の花が咲いていた。

クロバイ

これはハイノキ科のクロバイの木である。
遠くから見ても樹冠が真っ白に見えるほど多くの花をつけていた。

これでもかと言わんばかりに白でおおわれた木が、何で黒なのか?
黒をどこからもイメージできない。

だが、この木はハイノキ(灰の木)と同様に木灰を染色の媒染剤とした。
葉の色がハイノキと比べて黒いことから「黒灰」になった。

クロバイの花

こちらがもう少し近づいたクロバイの花。確かに、葉は暗緑色で黒かも知れない。

これだけの花である、庭木にしたらさぞや立派なお庭になることだろう。
辺りには何とも言えない甘い香りが漂っていた。

続いてこんな面白い花にも出会った。
植物はなんと奇抜な形を造り出すものかと驚かされる。

オオバウマノスズクサ

これはオオバウマノスズクサ(ウマノスズクサ科)の花である。
果実が馬につける鈴に似ていることから「大葉馬鈴草」という。
花弁はなく、萼筒が楽器のサキソフォンのような形をしている。
一度見たら忘れないだろう。

臭いでハエなどを誘い花粉を運んでもらう。 いや、強制的に
花粉をつけ運ばせる。(原理はテンナンショウの花と同じだ)

さらに、注視すべきはこの葉がジャコウアゲハの食草であることだ。
辺りを見渡すが、それらしき姿はなかった。

そして、いよいよ今回の主役の登場だ。

キンラン

これは絶滅が危惧されているキンラン(ラン科)の花。
木漏れ日の下で輝く黄色は鮮やかで「金蘭」の名にふさわしい。
花は全開することが少なく、真上から花を覗かせてもらった。
半開きでふっくらと咲き、凛と立つさまもまた雅である。

森の菌類と共に生きているため、持ち帰っても育ことはない。
しかし、そのことを知らない人間による盗掘があとを絶たない。
(愚かな人間が多いのは寂しい限りである)

盗掘されるほど注目を浴びずとも美しい花はあまたある。
ことに白い花は清楚で、飾らずとも美しい。

ツクバキンモンソウ

これは主に太平洋側に多い、ツクバキンモンソウ(シソ科)だ。
主に日本海側に分布するニシキゴロモの変種と言われるが、
変種扱いはないだろう。

本家のニシキゴロモは葉脈上に濃紫色が入り、その模様が美しく
錦の衣をまとったようだと「錦衣」と名づけられた。
ツクバキンモンソウ(筑波金紋草)にも濃紫色は入るが、
写真のように入らない個体もある。 (素っぴんだって美しければ文句はない)

ちょっとカメラのアングルがまずかったけれど、味気ない茶褐色の落葉の中から
突如、このような花が立ち上がってくるのだ。 それだけで拍手喝采だ。

林縁にはクサイチゴ、ナツトウダイ、チゴユリ、ホウチャクソウなどが見られ、
早々とハルゼミの声も聞かれた。 そして、林道にはこんな花が咲いていた。

ホタルカズラ

これは日向の花、ホタルカズラ(ムラサキ科)だ。
なんとも鮮やかなブルーである。 (ピンボケがつくづく残念、目が痛くなる)

花弁の中に隆起した白い筋、これには何か意味があるのか。 蜜標?
どころで、この花の雌しべと雄しべはどこにあるのだろう。
中央の小さな花筒の中。 どんな虫がやって来るのだろうか?

ホタルカズラは日向を好む、ファーブル大先生のように一日中
虫が来るのを待っていたら日射病で倒れるだろうな。 たぶん。

それでは最後に玄人受けする花をご覧いただこう。

ナベワリ

これはナベワリ(ビャクブ科)の花である。
葉が有毒で、舐めると舌が割れることから「舐め割り」が転化して「ナベワリ」
になったと言う。 果たして本当なのか? (試す勇気は・・・キッパリ無い)

花は葉の下に隠れるようにひっそりと咲く。 その花も緑色をして目立たない。
自己主張の強い花が多い中にあって、どこまでも控えめだ。
4枚ある花弁のうち1枚だけが大きい。 それは何故?

「秘すれば花、秘せねば花なるべからず」か、
こんな地味な花を好むのは侘び、寂びを解する日本人ならではだろう。

もの言わぬ植物、不思議なことがいっぱいだ。
わからないことがいっぱい、だから面白い。

答えは無くていい、想像の余地がいいのだ。
見える人にはちゃんと見えているんだから。



プロフィール

杉浦直樹

Author:杉浦直樹
『自然塾』塾長の杉浦直樹です。
日本自然保護協会
自然観察指導員

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