草津白根山と四阿山

7月に入ったとは言えまだ梅雨の真っ只中であり、週末の天気が気になる
日々が続く。 そんな中、「草津白根山と四阿山」のツアーが催行された。
万座温泉に泊まり百名山の2座を登頂するプランだ。

出発前夜、天気予報をみると、やはり2日ともよろしくない天気。
ザックカバーに防水スプレーを念入りにかけ雨合羽の歩行を覚悟した。

草津白根山

名古屋を7時30分に出発するも白根山の登山口に着くと、もう12時だった。
峰々の山頂部はガスに包まれていたが、時折薄日も射し何とか持ちそうな気配。

登山口となる「白根レストハウス」の標高はすでに2000mある。
歩き始めるとすぐにたくさんのツマトリソウやマイヅルソウが足下にあった。
ゴゼンタチバナやクロマメノキなども多く見られた。

コマクサの群落

本白根山は活火山で山頂への立ち入りが規制され、頂を踏むことは出来ない。
しかし、ここにはおびただしい数のコマクサがあり、その群生を見るだけでも
充分である。

本白根山のコマクサはなぜか他のコマクサよりもひときわ濃い色をしている。
花の形が馬(駒)の顔に似ていることから駒草というが、
花の側面だけがふくれているのは何のためか? 盗蜜からの保護だろうか。

白根山の湯釜

白根山と言えばこの湯釜、ここは那須火山帯に属し湯釜は火口湖だ。
直径300m、水深30m、水温は18度あると言う。 
その水は火山灰や鉱物を含み独特の色をしている。

美しい色ではあるが、世界で最も強い酸性湖で植物も動物も寄せ付けない。
もちろん人も近くまで行くことは出来ない。

宿は草津白根山の西斜面に位置する万座温泉に泊まった。
万座はスキー場として有名だが夏もまたいいもの。
山を見ながらのんびり浸かれる硫黄泉が魅力だ。

サックスのライブ

夕食を済ませると宿のホールでは総支配人がテナーサックスを吹いてくれた。
「昴」や「アメージング・グレース」など、それはそれは素晴らしい演奏だった。
泊り客が「夜霧よ今夜も有難う」をリクエストすると楽譜無しで吹いて聴かせた。

その音色はオーケストラがまだ楽団と言われていた時代、古き良き時代を
彷彿させるもので館内はたちまち昭和の香りに包まれた。

お歳は70を過ぎていると聞いた。 どんな客にもていねいに対応していた。
総支配人ともなれば、ここまでにそれなりの苦労もあっただろうに、
この人はきっといい時の過ごし方をしてきた人だと思った。

ダボス牧場

翌朝、嬬恋村の見渡す限りのキャベツ畑を抜けて四阿山に向った。
この日もあまりはっきりしない空模様、根子岳が見えたり消えたり。
だが、今日は昨日と違ってしっかり歩く、靴紐を強く締め直し出発。

牛がのんびりと草を食むダボス牧場からの歩き出しだ。
レンゲツツジ、ウツボグサ、アヤメ、キバナノオダマキ、クリンソウ
などが見られた。 そして、こんな花が咲いていた。

グンバイヅル

これはゴマノハグサ科のグンバイヅルの花。茎が地上をはって伸び、
果実が扁平で軍配に似た形になるためグンバイヅルと名付けられた。
中部地方のみに見られる特殊な花である。

シラカバ林がダケカンバに変わり、中四阿までくると展望が開け
岩陰にこんな花も見られた。

ウラジロヨウラク

これはツツジ科のウラジロヨウラクの花。 葉裏が白いことからウラジロ、
ヨウラクは「瓔珞」と書くが仏像や寺院の装飾に使われる垂れ飾りのこと。

垂れ下がるふっくらとした花筒の裾は紅で縁取られ、何とも愛らしい。
過酷な環境の山にこんな花が咲くのだ。

クモキリソウ

これは里山の花だが、偶然に見つけたラン科のクモキリソウ(雲切草)の花。
手前にスミレの葉があってまぎらわしいが、葉の縁が細かく波打つのが特徴。
花は緑色でとても地味である。しかし、山野草ファンに見つかったらすぐに
盗掘されてしまう代物だ。

梅雨の最中は誰も登山はためらいがちだが、なかなかどうしてたくさんの
花に出会えるものだ。

山頂志向の登山者には展望がなくつまらない登山と思えるかも知れないが
少し視野を広げてみたら、梅雨時でも山はそれなりに楽しめるものなんだよ。






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プロフィール

杉浦直樹

Author:杉浦直樹
『自然塾』塾長の杉浦直樹です。
日本自然保護協会
自然観察指導員

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