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ノスタルジック「小樽」

梅雨が明け、都会では連日うだるような暑い日が続いている。 
アスファルトとコンクリートで固められた街の中は特に暑い。

そこへいくと北海道の夏は実にさわやかだ。
本州と何が違うのか。 それは湿度だろう。

同じ気温28度でも蒸し暑さが感じられない。 できるものなら
夏の間はずっと北海道に滞在していたいくらいだ。

今年は7月の大雪山に二つのツアーを案内した。
一つ目のツアー3泊4日と、二つ目のツアー3泊4日の間に
1日の空白があり、北海道に都合9日間の滞在となった。

時計台

一つ目のツアーを昼過ぎに千歳で見送るとすぐに札幌へと移動した。
しかし、悲しいかな山のガイドは市街地を全く知らない。

大雪山の登山道でいつ頃どこに何の花が咲くかを熟知していても
市街地に投げ出されると迷子になる。

とりあえずはタウンマップを片手に札幌市内を観光。
お決まりの時計台に赤レンガの旧北海道庁舎を見て回った。

マイピクーチャー 502

人口190万の巨大都市札幌、街はきれいに区画され美しい街並みであった。
だだの観光客とは違うナチュラリストの目には様々なものが飛び込んできた。

街路樹はオオバボダイジュ、メタセコイヤ、カツラ、イチョウなど。
どの木も高木となって歩道や分離帯に緑の木陰をつくっていた。

近代的なビルが建ち並ぶ街の所々に、僕の目を留める古い建物が見られた。
それは蔵造りの建物で普通に質屋さんであったり、薬屋さんであったりしていた。

昭和の初期の建物であろうか、その中の何軒かは洒落た喫茶店やレストラン
として使われ、街の風景に歴史の味を添えていた。

  『 開拓の 夢人たちの 礎が 今を見つめる ビルの谷間で 』

質屋さん

翌日の天気は快晴、北海道で自由にできる貴重な一日だ。
せっかくなので小樽まで足を伸ばすことにした。

小樽は北海道開発の歴史で大きな役割を果した都市である。
ぜひ、小樽の街を歩いてみたかった。

小樽観光の目玉はやはり運河であろう。だが、見るべき場所は他にある。
この街の繁栄はにしん漁から始まる。

にしん漁で巨万の富を築いた青山家の別邸が小樽郊外の丘に残されている。
その横に小樽市が斬新なレストランを併設し「小樽・貴賓館」と名付けた。

小樽・貴賓館

ここまで来るのにJR北海道が発行する「小樽・貴賓館きっぷ」という
ものを利用した。

そのプランは札幌ー小樽間の往復電車運賃と小樽駅から貴賓館までの
往復バス運賃に「旧青山別邸」の入館料と貴賓館でのランチ代がセット
されたお得な切符(¥4100)だった。

貴賓館ランチ

平日とあって昼時でもお客さんは少なく静かなレストラン、
にしん御殿「旧青山別邸」の見える窓際に座りランチを頂いた。

先付け、お造り、焼物、茶碗蒸し、煮物、揚げ物、水菓子、
どれも北海道の海の幸を取り入れた料理だった。

中でも、美味しく気に入ったのは〆鰊の押し寿司だった。
これで4100円は格安、お腹も心も満足、満足であった。

小樽・貴賓館

肝心な話し、にしん御殿「旧青山別邸」のことを忘れていた。

青山家は祝津の網元で、にしん漁で巨万の富を築き上げた家。
大正6年から6年もの歳月をかけて造られた別荘が「旧青山別邸」だ。

母屋の柱、梁、長押(なげし)、欄間は最高の木材を北前船で運ばせ、
18室ある各部屋の襖絵や書は名のある画家や書家に描かせた。

金に糸目をつけず建てられた正に「にしん御殿」である。

旧青山別邸

百畳敷きの大座敷、漆塗りの長い廊下、波打つ板ガラス、そのどれもが
時代を感じさせた。 特にたも材の階段は見事であった。

小樽を訪れることがあったら是非、ここに来ることをお薦めする。

 『 牡丹咲く 雅の館 今もなお にしん待つかな 海を見下ろし 』

漆喰までも黒く塗られ、落ち着きと威厳のある建物は
涼やかな夏風の中で、今も石狩湾を望む高台にあった。











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プロフィール

杉浦直樹

Author:杉浦直樹
『自然塾』塾長の杉浦直樹です。
日本自然保護協会
自然観察指導員

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