栗花落(ついり)の頃

季節は梅雨ですね。 梅雨入りのことを「栗花落」(ついり)とも言うそうです。
クリの花が散るころにちょうど梅雨に入るからだそうだ。

クリの花は近くに寄るとむせるような強烈な臭いがあるが、秋の実はとても美味しい。
和菓子にはなくてはならない素材だろう。  あっ、洋菓子「モンブラン」もあったか。

雄花は細く垂れ下がり一見、風媒花のようであるけれど、この強烈な臭いには
たくさんの虫たちがやって来る虫媒花だ。

さて、雨の頃に咲く花はたくさんあるもので、山では淡いピンクのササユリが咲く。
ふと思い立ち、愛知県新城市のササユリが咲く明神山に出かけた。

石門の明神山

三河の山には平山明神(970m)と三ツ瀬明神(1016m)の二つの明神山がある。
これは乳岩峡の大きな石門の下から見た三ツ瀬明神山です。

三遠南信自動車道の鳳来峡インターを下りると直ぐに乳岩峡への側道があり
僕の家から登山口までなんと、たったの1時間であった。

今日は明神山で見かけた季節の花を紹介します。

ササユリ

これは言わずと知れたササユリ。 山に自生するユリの中では比較的早く開花する。
日本特産種で学名にジャポニカの名が付く。

東日本にはもう少し花色の濃いヒメサユリがあり、このササユリは西日本を代表するユリだ。
大きな花を咲かせるヤマユリの豪華さはないけれど優しさを感じさせる花である。

そして、この明神山では6月に珍しい花を見ることができる。

カキノハグサ

これは「カキノハグサ」と言うヒメハギ科の植物だ。
名は葉が柿の葉に似ることからカキノハグサだが、花の造形が面白い。

花の拡大

花弁のように見える薄黄色のものは萼片で、5個あるうち両サイドの2個が立ち上がり
残りの3個が花を包んでいる。 う~ん、ちょっと難しい。

種子はアリによって運ばれるようで1株見つけるとその周りに数株を見ることができる。
東海から近畿地方でしか見られない植物だ。

梅雨の頃はなかなか出かける機会が少なく、あまり見ることのない花が多い。
これは薄暗い植林帯の林床にあった1センチほどの小さな花。 何かわかるかな?

ツルアリドウシ

これはツルアリドオシ(アカネ科)の蕾だ。 花は必ず2個仲良く並んで咲いている。 
が、しかし、成る果実は何故か1個だけ。
秋に熟した赤い果実をよく見ると、花の跡であった穴が2個残されているのがわかる。

もし、花を見る機会があったなら小さな花をよく見て欲しい。
雌しべが長く雄しべが短い花(長花柱花)と逆に雄しべが長く伸びて雌しべが殆ど
見あたらない花(短花柱花)の2種類があることを確認してみよう。
果実が1個になる謎が解けるかも知れない。

別種のアリドオシには鋭い刺があるけれど、この地を這うツルアリドオシに刺は無い
から安心して近づける。

そして、最後はこちら。 この花の形も蕾の形も面白い。

テイカカズラ

これはテイカカズラ(キョウチクトウ科)の花だ。 漢字は「定家葛」と書く。
カズラとはつる草を意味する。
四国の祖谷の「かずら橋」はかつてサルナシのつるで造られていた。

テイカとは歌人の藤原定家を指すが由来が長いので説明は割愛。 ごめん。
花は船のスクリューを思わせ、濃い緑の葉に白い花がよく映える。

地表を這っている時の葉はとても小さいが、ひとたび樹木に絡み登っていくと
別の種類かと見間違うほど葉は大きくなりたくさんの花を咲かせる。

ササユリの花

そうそう、ササユリもテイカカズラも芳香があるので森で花を見つけたら
是非、匂いを嗅いでみよう。
ユリの花粉は白い服に付着するとなかなか落ちないので注意しよう。
テイカカズラはキョウチクトウ科で毒性があるけれど口にしなければ大丈夫。

他にはカイナンサラサドウダン、ヤマグルマ、ガクウツギ、ガンピ、マルバウツギ、
タツナミソウ、アオチドリ、ヤマボウシなどが見られた。

乳岩登山口から山頂まではおよそ3時間。
途中、ロッククライミングで有名な鬼岩もありたくさんの巨石も見られた。
その岩肌には無数のイワタバコの瑞々しい若葉があった。

梅雨の合間、日焼けするほどの日差しの中で三河の山を1日楽しんだ。

スポンサーサイト
プロフィール

杉浦直樹

Author:杉浦直樹
『自然塾』塾長の杉浦直樹です。
日本自然保護協会
自然観察指導員

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード