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塩田平に遊ぶ

6月下旬、梅雨の最中に天気予報を気にしつつ毎年出掛ける山がある。
長野は浅間連峰の西のはずれ、湯の丸高原だ。

ここは60万株と言われるレンゲツツジの大群落があり、6月下旬から7月上旬は
湯の丸山の裾野から山腹までが鮮やかな朱色で染め上げられる。

満を持して出掛けた日、見頃には少し早く全山朱色とまではいかなかった。

DSC00218.jpg

印象に残ったのは湯の丸高原に向かう途中に寄った塩田平であった。
上田市の南に位置する塩田平は鎌倉時代に足利義正が移り住み、寺の保護に
努めたため今でも当時の寺院が多く残り「信州の鎌倉」と呼ばれる土地だ。

北に浅間連峰の伸びやかな稜線を望む長野の穀倉地帯でもある。
雨が少なく、ため池が多い。 長閑な田園風景がどこまでも続いている。

浅間連邦の南、塩田平や佐久平から見る浅間の山並みは美しく、
幾度となく訪れているが、けして飽きることはない。

DSC00232.jpg

松本から国道254号線を経由、三才山トンネルを抜けて上田市へ。
愛知県の岡崎市を朝7時に出発するとちょうどお昼頃に塩田平に着く。

この塩田平には知る人ぞ知る美味しいお蕎麦屋さんがある。
ソバは石臼で手挽きと、かなりこだわりのある店だ。

名物は「田舎おしぼりそば」。辛味大根のしぼり汁に味噌を溶かしそばつゆとする。
大根のしぼり汁だけではとても辛いが味噌を混ぜることにより独特の味になる。
う~ん。 俗に言う癖になる味か、なかなかいける。

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そして、塩田平に来たら必ず寄って欲しい美術館がある。
それは先の戦争で犠牲になった戦没画学生たちの絵画や絵の具などの遺品を
展示した「無言館」という私立の美術館だ。

ハルゼミが鳴く松林と雑木の中に静かに佇む瀟洒な建物。
駐車場から入口まで敷かれた石畳のアプローチは心を鎮めるのに程よい
距離であり効果的な演出がなされている。

扉を開けるとコンクリートが打ちっ放しの壁にたくさんの絵画が掛けられている。
「あと10分、あと5分、この絵を描いていたいが、 家の外では出兵を祝う人たちが
彼を待っていた」 
恋人をモデルに描いた絵の横にはこんな文章が添えられていた。

DSC00274.jpg

優れた芸術文化を誇る日本も過去において政治的にまだ未熟だった時代があった。
その時を繋いだ人たちがいて今の平和な日本がある。
この美術館を訪れる度に日々をおろそかに生きてはならないと知らされる。

この「無言館」から歩いて数分の所に古刹「前山寺」(ぜんさんじ)がある。
平日でも観光バスがやって来る寺で、「未完成の完成塔」と言われる
国の重要文化財でもある三重の塔が有名だ。
だが、ナチュラリストの目は塔よりも境内にある、ある一本の大樹に注がれる。

それはムクロジ科の「モクゲンジ」という珍しい木である。
花は7月下旬からで直径1センチほどの黄色い小さな花が円錐状に集まって咲く。
この木は花も紅葉も綺麗だが、一番面白いのは果実である。
果実は熟してくると風船のように膨らみ枝に鈴なりとなる。

DSC00267.jpg

木の根元にも枝にも昨年の蒴果が残り、そのどれにも黒く硬い種子が見られた。
こうして風をはらみ種子は遠くへと運ばれて行くのだろう。

そして、もうひとつ注目したのは境内のいたるところを飛び回っていたおびただしい
数のテングチョウだった。
テングチョウの名は頭の部分が天狗の鼻のように前へと伸びていることに由来。

今がちょうどテングチョウが羽化する季節であった。
近くの里山でも羽化したてのテングチョウは見るが、この大量発生には驚いた。
そうだ、今年は毛虫が大量発生している。

DSC00245.jpg

タテハチョウの仲間は花よりも獣糞や腐敗した果実や人の汗に集まる習性があり
こうして地面で吸水する姿もよく見かける。

それにしてもなぜ寺の境内だけに集中して舞っているのだろう?
食草であるエノキも見当たらないけど・ ・ ・ ・

ん?、 ひょっとしてチョウも「くるみだれ」の匂いに誘われたか?
そう、この前山寺の名物は美味しいと評判の高い「くるみおはぎ」である。

DSC00270.jpg

茅葺きの立派な本堂の横にある一室に上がり、寺のお庭を拝見しながらおはぎが
いただける。 寺は高台にあり遠く塩田平も見ることができる。

幸いお客さんは僕たちだけだった。 旅の途中、ほんのひと時の静寂な時間。 
お茶の接待を受けるような心持であった。

DSC00272.jpg

椀の中には程よい食感で搗かれた白いおはぎがふたつと、それはそれは美味しい
くるみだれがあった。
シソの葉で包んだカリカリ梅の甘漬が添えられ、これもまた美味しかった。
もっちりとした甘いおはぎに箸休めとしての梅は心憎い選択ではないか。

こんなに美味しく、また優雅におはぎをおはぎを食べたのは初めてだった。

    「自然塾」ではよく佐久平や塩田平方面へ出かけます。
    モクゲンジの花や果実や紅葉を見に、また「おしぼりそば」や
    「くるみおはぎ」を食べに行きましょう。 お待ちしています。

ではブログの感想、コメントをよろしくお願いします。
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プロフィール

杉浦直樹

Author:杉浦直樹
『自然塾』塾長の杉浦直樹です。
日本自然保護協会
自然観察指導員

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