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愉快な植物(1)

2010年もあと2ヶ月を残すだけとなりました。樹々は葉を落とし、
草花は落葉の下に眠り、再び芽吹く時まで寂しい日々となります。
過ぎし10ヶ月を振り返り、日本のあちらこちらで見かけた愉快な植物、
変り種の植物を2回に分けて紹介します。

今年最初のツアーはフェリーで行く3泊4日の霧島岳・開聞岳でした。
1月だというのに鹿児島市内は至る所で菜の花が満開でした。
開聞岳の下山途中、暗いかん木の中に何か怪しげな物体が・・・・
ツチトリモチ
これはキノコのように見えるけれど菌類ではなく、ツチトリモチという寄生植物です。
フラッシュをたき、やっと正体が現れた。 雌雄異株で、これは雌株。
もっとも日本で雄株は発見されていないらしい。 したがって単為生殖をする。
風貌から別名を「山寺坊主」と言うが・・・・さしずめ、尼さんか。
(う~ん、やっぱり雄を避け自立している。)

<単為生殖をする植物は他にもドクダミやセイヨウタンポポがある>

まだまだ寒い2月は低山ハイクが続く。
山の少ない愛知県でも三河地方は緑の山並みが連なる。
その中のひとつ宇連山(929m)に出掛けた。今にも降り出しそうな空だった。
登山道脇に大きな葉をつけた蔦の木が刈られ、無造作に捨てられてあった。
よく見ると葉の付け根にかぎ状の刺があるではないか。
カギカズラ
これは常緑のつる性木本でカギカズラ(アカネ科)と言う。
南方系の植物で房総半島以西の山に見られ、南の地方では珍しくないが
千葉県では重要保護植物にされているとか。
カギの部分は日干しにして生薬「釣藤鉤」(ちょうとうこう)として利用される。
鎮痛・血圧降下のほか、アルツハイマーの抑止にも効果があるらしい。
(世話にはなりたくないなぁ)
夏に小さな花が球状に集まって咲く、この花を一度見てみたいと思う。
来年の6月下旬、自然塾の観察会でアルツハイマー予備軍を連れて見に行くことにしよう。
(あっ、また問題ある発言をしてしまった)

毎年4月上旬は新潟の花の山、角田山・国上山・弥彦山を巡ります。
これらの山ではオオミスミソウ、カタクリ、キクバオウレン、コシノコバイモ、
ミチノクエンゴサクなどたくさんの野草に出会えます。
良寛和尚の五合庵で知られる国上寺から国上山を目指すと
足下に星形のえりまきをした謎の物体が・・・・
ツチグリ
これは菌類、ツチグリという立派なキノコです。
若いうちは堅い球体ですが、成熟すると外側の皮が星形に裂けて反り返ります。
外皮は空気が湿っている間は開いていますが、乾燥すると胞子の袋を包み込むように
閉じてしまいます。その時、袋は押されて中央の穴から胞子を散らします。
<乾湿を感じ取り開閉する仕組みはどうなっているのか?>
それは外皮の構造が二層になっていて内側の層が水分を吸収し膨張することで開く。
(なるほど、今度、薄い皮をじっくり見てみよう)
空気が乾燥して球状になるとコロコロと風に吹かれて移動し、他の場所で胞子を飛ばす。
晴れた日に移動するので「晴天の旅行者」と呼ばれる。
登山もいつも晴れだとどんなに楽しいことか。(晴天のガイドになりた~い)

鈴鹿山系の藤原岳は花の山と知られフクジュソウの咲く頃はたくさんの登山者が訪れる。
その藤原岳の最も花の多い時季は4月下旬から5月上旬である。
何年も通ったこの山へ久しぶりに足を運んだ。
たくさんの花を見た帰り道、大貝戸道の休憩スポットで一服。ふと見ると石灰岩の
岩の隙間からへんてこな葉が伸びていた。
クモノスシダ
これはチャセンシダ科のクモノスシダです。
葉の先は異状に長く伸び、先端が地に触れたところから新芽を出す。
石灰岩地に多く見られる好石灰岩性植物です。
英名では「シベリアの歩くシダ」とか。 気候もよくなり動物たちの行動も活発になり
植物も歩くか。「飛ぶシダ」なんていたら森も面白そうだ。(蝶や鳥は迷惑か)

風薫る5月、ゴールデンウィーク前に2泊3日で大峰山の行仙岳から玉置山を経て
熊野本宮大社までの奥駆道を歩いた。
山道をただひたすら歩くまさに修行であった。唯一の救いは尾根沿いに
軟らかな色合いのトサノミツバツツジがいくつも見られたことか。
そして、林床にはこんな植物があった。
キシダマムシグサ
これはサトイモ科・テンナンショウ属のキシダマムシグサです。
愛知と近畿地方に分布し、名前は明治の博物学者の岸田松若氏に因んでいます。
テンナンショウ属の識別は難しく苦労しますが、このマムシグサは比較的簡単。
葉に白斑が入ること、仏炎苞の先が細く糸状に伸びること、
中の付属体がストレートな棒状であることが決めてでしょう。
後姿の写真で失礼。午前3時起床、長時間歩行、何度も繰り返すアップダウン、
い~や、きつかった。(もう二度と行かない。人生の修行は今までに充分してきた)

長野と新潟の県境には関田山脈が屏風のように横たわり両県を分ける。
近年、注目を集める信越トレイルの天水山に豪雪地帯のブナを見に出掛けた。
松之山温泉近くにある「ブナの美人林」はとても美しい林でした。
小径をはずれふかふかの落葉に足を踏み入れると、ちいさな芽がたくさん出ていました。
ブナの稚苗
これは虫や動物たちに食べられなかったブナの稚苗です。
場所によっては一面に可愛い芽が顔を覗かせていました。
ブナの大木からは約20万個もの実が落とされるとか。
一斉に発芽したブナの芽は「ブナもやし」と呼ばれ、実際に食べられる。
哀れブナもやし!! しかし、もやし君たちは発芽して2週間もすると徐々に枯れ始め
ほとんどの芽は生き残れないそうです。

親ブナが老いて枯れでもしない限り太陽の恵みを受けられないのです。
じっと耐えることの出来る強い遺伝子を持ったブナだけが後継者となりえる。
それは何万本に一本なのだろうか?

悠久の時の中で繰り返されるブナの更新、
その間にどれだけの命が生まれ、また消えていったのだろう。







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杉浦直樹

Author:杉浦直樹
『自然塾』塾長の杉浦直樹です。
日本自然保護協会
自然観察指導員

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