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花咲く季節

野山に花が咲き始めると僕は急に忙しくなる。
蜜を集めるミツバチのように花を求めて山から山へと飛び回る。
今日も今日とて三河の山へ。

数日前から昼間は外吹く風が心地よい気候となった。
今はどこに出掛けても花が見られる時である。
身近な里山でものんびり歩けば意外な発見がある。

里山は気楽に登れていろんな種類の草花や昆虫に
木々の花や鳥たちに出会えるのが楽しい。

登山道脇には直射日光や風から森の乾燥を防ぐ役割りをする
マント群落と呼ばれる低木や小高木があり、その周りには
ソデ群落と呼ばれる蔦や下草がある。

この森ではウツギ、カマツカ、ニシキギ、イボタノキがあった。
陽の当たる場所にはつる性の植物が多く見られる。
では、この森で見られたつる植物を2種、さて、何かわかるかな?

アマヅル

これはブドウ科のアマヅル(甘蔓)の花。
やや厚いハート形の葉と対生して花序を出す。

葉の形といい、色や艶といい、また葉脈の線の走り具合といい
デザイン的に優れていると僕は思う。
日本の家紋には菊や葵や桐など植物が多く意匠として使われてきた。
我が家の家紋は「丸に剣カタバミ」だが、「上がり甘蔓」でも悪くない。

秋に黒く熟すアマヅルの果実は甘くて美味しい。
(目で楽しませ、舌で喜ばせ、なかなかうい奴じゃ)

サンカクヅル

これもブドウ科の植物で、サンカクヅル(三角蔓)の花だ。
つるを切ると樹液がしみ出すことから別名をギョウジャノミズという。

秋には葉が濃い赤色となり、よく目立つ。
紅葉や木の実を探して森に入ると、しわしわになった三角形の葉が
登山道に落ちているのをよく見かける。
花には甘い香りがあったと記憶しているが・・・・

いつも「自然塾」においては辺りを注意深く見ながら歩く。
「何かないか、何か面白いものはないか」と、
1時間の行程を3時間かけてしまうことも多々ある。

今日もこんな不思議なものを見つけた。

オーク・アップル

これはコナラにできた「虫こぶ」で、ナラリンゴタマバチの仕業だ。
虫こぶの形がリンゴに似ているため「オーク・アップル」とも呼ばれる。

この昆虫はコナラ、ミズナラ、カシワなどの枝に産卵する。
クリの木にはクリタマバチが産卵する。
昆虫たちにはそれぞれご用達の木があるのだ。

新緑の季節は昆虫も忙しい時、エゴノキにはオトシブミが
巻いた葉がいくつも、いくつもぶら下がっていた。
エゴノキはまだ蕾であったが、こんな木の花が咲いていた。

クロバイ

これはハイノキ科のクロバイの木である。
遠くから見ても樹冠が真っ白に見えるほど多くの花をつけていた。

これでもかと言わんばかりに白でおおわれた木が、何で黒なのか?
黒をどこからもイメージできない。

だが、この木はハイノキ(灰の木)と同様に木灰を染色の媒染剤とした。
葉の色がハイノキと比べて黒いことから「黒灰」になった。

クロバイの花

こちらがもう少し近づいたクロバイの花。確かに、葉は暗緑色で黒かも知れない。

これだけの花である、庭木にしたらさぞや立派なお庭になることだろう。
辺りには何とも言えない甘い香りが漂っていた。

続いてこんな面白い花にも出会った。
植物はなんと奇抜な形を造り出すものかと驚かされる。

オオバウマノスズクサ

これはオオバウマノスズクサ(ウマノスズクサ科)の花である。
果実が馬につける鈴に似ていることから「大葉馬鈴草」という。
花弁はなく、萼筒が楽器のサキソフォンのような形をしている。
一度見たら忘れないだろう。

臭いでハエなどを誘い花粉を運んでもらう。 いや、強制的に
花粉をつけ運ばせる。(原理はテンナンショウの花と同じだ)

さらに、注視すべきはこの葉がジャコウアゲハの食草であることだ。
辺りを見渡すが、それらしき姿はなかった。

そして、いよいよ今回の主役の登場だ。

キンラン

これは絶滅が危惧されているキンラン(ラン科)の花。
木漏れ日の下で輝く黄色は鮮やかで「金蘭」の名にふさわしい。
花は全開することが少なく、真上から花を覗かせてもらった。
半開きでふっくらと咲き、凛と立つさまもまた雅である。

森の菌類と共に生きているため、持ち帰っても育ことはない。
しかし、そのことを知らない人間による盗掘があとを絶たない。
(愚かな人間が多いのは寂しい限りである)

盗掘されるほど注目を浴びずとも美しい花はあまたある。
ことに白い花は清楚で、飾らずとも美しい。

ツクバキンモンソウ

これは主に太平洋側に多い、ツクバキンモンソウ(シソ科)だ。
主に日本海側に分布するニシキゴロモの変種と言われるが、
変種扱いはないだろう。

本家のニシキゴロモは葉脈上に濃紫色が入り、その模様が美しく
錦の衣をまとったようだと「錦衣」と名づけられた。
ツクバキンモンソウ(筑波金紋草)にも濃紫色は入るが、
写真のように入らない個体もある。 (素っぴんだって美しければ文句はない)

ちょっとカメラのアングルがまずかったけれど、味気ない茶褐色の落葉の中から
突如、このような花が立ち上がってくるのだ。 それだけで拍手喝采だ。

林縁にはクサイチゴ、ナツトウダイ、チゴユリ、ホウチャクソウなどが見られ、
早々とハルゼミの声も聞かれた。 そして、林道にはこんな花が咲いていた。

ホタルカズラ

これは日向の花、ホタルカズラ(ムラサキ科)だ。
なんとも鮮やかなブルーである。 (ピンボケがつくづく残念、目が痛くなる)

花弁の中に隆起した白い筋、これには何か意味があるのか。 蜜標?
どころで、この花の雌しべと雄しべはどこにあるのだろう。
中央の小さな花筒の中。 どんな虫がやって来るのだろうか?

ホタルカズラは日向を好む、ファーブル大先生のように一日中
虫が来るのを待っていたら日射病で倒れるだろうな。 たぶん。

それでは最後に玄人受けする花をご覧いただこう。

ナベワリ

これはナベワリ(ビャクブ科)の花である。
葉が有毒で、舐めると舌が割れることから「舐め割り」が転化して「ナベワリ」
になったと言う。 果たして本当なのか? (試す勇気は・・・キッパリ無い)

花は葉の下に隠れるようにひっそりと咲く。 その花も緑色をして目立たない。
自己主張の強い花が多い中にあって、どこまでも控えめだ。
4枚ある花弁のうち1枚だけが大きい。 それは何故?

「秘すれば花、秘せねば花なるべからず」か、
こんな地味な花を好むのは侘び、寂びを解する日本人ならではだろう。

もの言わぬ植物、不思議なことがいっぱいだ。
わからないことがいっぱい、だから面白い。

答えは無くていい、想像の余地がいいのだ。
見える人にはちゃんと見えているんだから。



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里山

杉浦さんは蝶のように春は飛び回りますね。
花から花へ~

拝見するのが遅かった!!
何処の里山でしょうか?

吉祥山ですか?
ナベワリソウ、ツクバキンモンソウ、クロバイの花を見たかった・・・・・
クロバイの花は遠目からだと雪のように白く豪華ですね。
でも身近で見たことがないのです。  残念です。
プロフィール

杉浦直樹

Author:杉浦直樹
『自然塾』塾長の杉浦直樹です。
日本自然保護協会
自然観察指導員

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