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九重連山縦走

6月上旬、九重の山々がミヤマキリシマで包まれる頃、
恒例となる3泊4日の「九重連山縦走」のツアーが出る。

名古屋を午後に出て夕方、大阪南港からフェリーで別府港に向う。
ツアーは早朝から出発することが多い。
夕暮れ時からの旅立ちはいつもと少し雰囲気が違っていた。

  『暮れにたつ 船は瀬戸内 闇をゆく 我が漂泊の 人生に似て』

九重の山々は九重火山群の中にあって発達した森林が少なく、
なだらかな山容と裾に広がる草原が独特の風景を造り出している。

しかし、北東部にある黒岳周辺は唯一深い森が存在する。
僕たちは黒岳の北側にある男池登山口から縦走を始めた。

ひんやりとした森に入るとすぐにこの樹と対面した。

ケヤキの巨樹

これはケヤキの巨樹。 ケヤキは箒を逆さにしたような樹形になる。
どちらかと言えば優しい感じを受ける。 しかし、この樹は違った。 
がっしりと岩を抱え込んだ幹の太さ、力強さに圧倒されてしまった。

数日続いた雨のせいだろう、森のいたるところに小さな種子が落ちていた。
何だろうと拾い上げると、それはオヒョウ(ニレ科)の翼果であった。

この森では思いがけずオヒョウとカジカエデの木が多く見られた。
他にはガマズミ、アサガラ、ウリノキ、ヒロハツリバナなど。
林床にはバイケイソウ、ホウチャクソウ、クワガタソウと、この花。

オウギカズラ

これはシソ科のオウギカズラ。 前回のヒイラギソウもそうだが
シソ科のキランソウ属はどれもよく似ていてまぎらわしい。

樹林帯を抜けて大戸越まで登ると、いよいよミヤマキリシマに出会える。
全山がピンク色に染まる平治岳に登る予定だったが・・・・・
今年、花は少し遅れていた。

ミヤマキリシマ

毎年この花が盛りを迎える頃に山開きが行われるそうで、今日はその前日。
雲の多い空模様であったが、登山者は多かった。

  『山開き 老いも若きも 尾根を越え 笑顔集うや ツツジ咲く頃』

平治岳からは折り返し大船山にも登った。
途中、雷が鳴り出しポツリ、ポツリと雨が落ちてくることもあったが、
合羽を着るほどのことはなく歩き通した。 この日は9時間の長丁場であった。

坊がつる

大船山からは坊がつるへと下って法華院温泉に泊まった。
坊がつるは四面を山に囲まれたとても広大な湿地帯だ。

渡り鳥や水鳥の生息地として重要な湿地や湖沼を保護するための
ラムサール条約にも登録されている。

どこまでも平坦な緑が続いていた。 それは「坊がつる賛歌」の
優しいメロディーそのままの風情であった。

  『水豊か 青田のごとき 坊がつる 心癒せし 風はいづこへ』

そして、宿となった法華院温泉はその坊がつるの一角にあり、
九州で最も高い場所(1300m)に湧く温泉であった。

ここは鎌倉時代より天台宗の修験場として法華院白水寺があったが、
明治の世から九重は信仰の山から登山の山へと変わり温泉宿になった。

  『荷を解きて 汗流したる 山荘の 湯船の彼方 憧憬の峰』

  『山深く 歴史もありき 法華院 くつろぐ湯宿 尽きぬ語らい』

翌日は快晴の朝を迎え、法華院温泉から北千里浜を経て硫黄山の
噴煙を見つつ、九重の最高峰中岳と久住山へと縦走を続けた。

硫黄山の噴煙

現在も火山活動中の硫黄山の裾は北千里浜と呼ばれる砂浜のような道だった。
歩くには快適だったが、ここは樹木が育たない不毛の場所だ。

だが、火山のおかげで九重山の麓にはたくさんの温泉がある。
標高も手頃で険しい山もなく、ルートも多く日帰り登山に向いている。
しかも温泉で汗を流して帰れるのはうれしい限りである。

久住山から牧ノ戸峠への道は低木帯でツツジの類が多く見られた。
今回、一番美しいと思った花は、この花。

ツクシドウダン

これは九州の山にのみ分布するツクシドウダン(筑紫満天星)。
ドウダンは一般に満天星と書くが、灯台(油に火を灯す室内照明の台)
が転化したものという。 枝が分かれる状態を灯台の脚に例えられた。

赤いドウダンだが、赤にいやらしさがない。 暗赤色の縦筋も洒落た感じだ。
花はベニドウダンよりも大きく、花冠の先の切れ込みが深い。
ゆるやかに裾を広げて咲くのもまたいい感じである。

  『緑萌ゆ 九重の山に 紅灯す ツクシドウダン 今盛りなり』

白いツクシドウダン

そして、こちらはツクシドウダンの白バージョンであろうか。
うっすらと紅が浮かぶ。 これはこれで、また美しい。

牧ノ戸峠から久住山への登山が一般的なのか、下山時には
たくさんの登山者と一緒になった。

いつもはパーティの先頭で参加者のペースを考えながら歩く。
しかし、今回はパーティーの最後尾で辺りをキョロキョロ。
サワフタギの葉にこんな面白い虫を見つけた。

シロシタホタルガの幼虫

これはシロシタホタルガの幼虫で、いつも数匹単位でいる。
サワフタギ、タンナサワフタギ、クロミノニシゴリの葉を食べる。

目立つ体色のせいか、比較的よく見る虫である。
でも派手な色彩にはご注意を。 この幼虫に触れるとかぶれるという。

すれ違う登山者が口々に「ドウダンが綺麗ですよ」と言っていたが、
みんなの言うドウダンはこの花を指していた。 (少しピンボケ)

ベニドウダン1

これはベニドウダンの花。 花のつき方は下へと垂れて咲く。
先ほどのツクシドウダンの花のつき方は横へと広がって咲く。

もっとはっきりした違いは花冠の先を見ればすぐにわかる。
ベニドウダンの花冠の先は細かく切れ、先端は閉じ気味である。

今回、シロドウダンが見れなかったのがつくづく残念であった。
けれど、こんな花も多く見られた。 (またもピンボケ、風のせい?)

ベニドウダン2

ドウダンの花色には変化があるのでこの花もベニドウダンとされるが、
中部、関東で真っ赤なチチブドウダンを見ている者にとって
「これがベニと言えるのか」と疑問を持ってしまう。
気持ち的にはベニサラサドウダンかなと思う。

この日も7時間歩き、夕刻、別府港へと戻り再びフェリーに乗り込んだ。
日曜日の乗船となり、船内ではジャズライブが企画されていた。

スピーカーから流れるBGMとは異なり、やはり生演奏は臨場感が違う。
さらに、海を見ながら洋上で頂く夕食は船のゆったりとした動きと相まって
優雅さを感じさせた。
窓際のテーブル席には老夫婦が静かにかけていた。

  『旅の果て 沈む夕日に 偲ぶ過去 とどまりたくも 時は許さじ』

今年もまた3泊4日、4泊5日のツアーが始まり出した。
次は北海道、そして南アルプスに北アルプスへと続く。
こうして僕の夏が駆け足で過ぎてゆく。

ガイドを始めて早や10年、たくさんの人たちとの出会いがあり、
日本のあちらこちらに出掛けた。 様々なことを知り、多くのことを学んだ。

  『山を知り 旅を重ねて 時満ちて 情け知るなり この歳にして』

今回のツアーはガイドを現地の方に頼み、僕は添乗員として同行した。
いつもとは違った視点で旅することができた。

にわか歌人のつたない歌にお付き合い下さり、ありがとうございました。














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九重連山縦走

九重山お疲れさまでした~
ツクシドウダンはチャーミングな花ですね!
私はまだお目にかかったことがないと思います。
私が行ったのは5月の連休。。。 まだシャクナゲが咲いていました。
それもだいぶ前の事・・・・・
九州地方だけにあるドウダンツツジですね。
この花を歌った短歌はとてもいいですね。
プロフィール

杉浦直樹

Author:杉浦直樹
『自然塾』塾長の杉浦直樹です。
日本自然保護協会
自然観察指導員

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