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旅のかたち

今年は少々暖かい秋であるが11月ともなれば山は紅葉も終わり
深山は雪が降り始め、登山者はめっきり少なくなる。
ツアーも週末の日帰り山行となり、再び街中で暮らす日々が多くなる。

しばらくお休みしていた自然塾のブログをまた書いてみる。
今日は「10月の自然塾」で行った荒船山のお話だ。

荒船山は長野と群馬の県境に位置する1423mの山で、二百名山にも名を連ねる。
固い安山岩が台地状に残り、山容は独特で荒波を蹴って進む船を思わせる。

南北2キロ、写真は内山峠の下から艫岩(ともいわ)を撮ったもの。
艫は船でいうところの船尾で、船首には最高峰の経塚山がある。

荒船山

秋の良く晴れた日だった。 ただ山に登るだけではないのが自然塾の旅。
まずは土地の食文化に触れようと佐久市内で昼食をとることにした。

佐久平は長野でも指折りの米処であり、佐久市内には11軒もの酒蔵がある。
美味しい日本酒も気になったが、車の運転もあり創作蕎麦の店に入った。
田んぼの真ん中にポツリ、古民家を再生したユニークな店だった。

テーブルに着くとお茶とおしぼりに、もうひとつ煮た大豆が出された。
それには真っ白な粗塩と薄紅色の藻塩が添えられていた。
「そのままでも食べられますが好みの塩をつけて食べて下さい」と・・・・

蕎麦を美味しくいただくための下(舌)準備なのだろうか?
蕎麦屋で突き出しに大豆を出されたのは初めてだった。

蕎麦屋の突き出し

続いて訪ねたのは同じ佐久市にある本州の五稜郭「龍岡城」だった。
函館の五稜郭から比べるとスケールは小さいが幕末に築城された歴史あるもの。

現在は小学校の敷地になっているが、星型をしたお堀と石垣はしっかり残っていた。
(写真はパンフレットのもの)

龍岡城

徳川幕府の陸軍総裁を務めた松平乗謨(のりかた)が三河奥殿(岡崎市)から
本拠地を佐久に移し、西洋式の城を築城したものだ。
岡崎市に住む者にとっては見ておくべき、知っておくべきものと寄ることにした。

日本に二つしかない五稜郭は明治政府の廃藩・城郭取り壊しの布告によって廃城。
その後、郷土の偉人・松平乗謨は大給恒(おぎゅう ゆずる)と名前を改め、
明治政府に加わり日本赤十字社を設立する。

初谷温泉

その日の宿は荒船山の麓、緑深き谷あいの一軒宿「初谷温泉」に泊まった。
うれし、恥ずかし初夜温泉ではなく、初谷温泉(しょやおんせん)である。

宿というのは玄関の面構えを見ればどの程度の宿であるかの推測がつく。
ここは僕たちの期待以上、実に落ち着いたいい雰囲気の宿だった。

食前酒は柚子酒、前菜は杏のウーロン茶漬けほか、魚は佐久鯉のうま煮、
信州牛の陶板焼き、岩魚塩焼き、水菓子は抹茶ミルクプリンなどなど。

料理も美味しかったがそれ以上に盛り付けられた器のひとつひとつが
センスのよいもので、客の持て成し方をよく心得た宿であった。

銅製かまど

そして、初谷温泉でもうひとつ僕の目に留まったものはこれ。

喫茶室の隅に置かれてあったこれは銅製のかまど「へっつい」と呼ばれるものだ。
土台が土やレンガで固められたものを見ることはあったがこれは初めてだった。

煮炊きのほかに湯も沸かすことができ、ちゃんと蛇口まで取り付けられている。
京都ではかまどを「おくどさん」と呼び親しまれているが、かまどよりも
洗練されておりヨーロッパの家具風でなかなかGood。

さて、そろそろ山の話をしなくてはいけないだろう。

霧の木立

翌朝、勇んで荒船山に登るも霧が深く艫岩からの展望を望むことは出来なかった。
昨日はあんなに晴れて浅間山もきれいに見えていたのに・・・・

登る途中ではヤマボウシの赤い実を随分と見つけ秋の山旅を感じさせたが
船の甲板まで来ると木々はことごとく葉を落としすでに晩秋の気配だった。

荒船山は独特の山容もいいし、登るにも手頃で大変いい山だと思う。
百名山に数えられる山の中にはふさわしくない山もいくつかある。
それらの山から比べたらずっと上にランクされるべき山だろう。

オオズミの実

船尾から船首への道は平坦で、とても山を登っているようには感じられなかった。
その楽々と歩く足を止めさせたのは足下一面に落ちていたオオズミの実だった。

正確にはオオウラジロノキ(バラ科・リンゴ属)である。
なかなか出くわす機会が少ない木で、これほどおびただしい数の実には驚いた。
見上げるとかなりの高木で、霧の中に枝をいっぱいに広げていた。
(PS.後日、再検討した結果、これはオオズミではなくアオナシの実のようです。)


直径3センチほどの実は酸味があるけれど食べることも出来る。
この森ではどんな動物たちが食べにやって来るのだろうか?
登山者もまばらな静寂な森に、ふと森のドラマを想像してみた。

  秋惜しみ 朽ち葉となりた 荒船の 静かなる森 ズミの実拾う

初谷温泉の浴室

今年もたくさんのツアーに同行した。 その旅は山のガイドとして山が目的であるが
今回のように訪れた土地の文化や歴史に触れる旅が僕にとっては一番心地よい。

食べるものもその土地ならではの工夫がされ、人々の暮らしも気質も
その風土に合った趣が感じられる。

人は歳を重ねた分、いろんなことが見えてくるものだ。
歳をとることはまんざら悪いことではない。
これからもずっと自分らしい旅をしていこうと思う。

    生き様は 川面に揺らぐ 月の影 流されはせず ひとり光りて

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No title

おはようさんです。
何年か前の事件(事故)?で荒船山が紹介されて、気になる山でした。よさそうなところですね。
プロフィール

杉浦直樹

Author:杉浦直樹
『自然塾』塾長の杉浦直樹です。
日本自然保護協会
自然観察指導員

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