スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

上高地のミドリニリンソウ

長期にわたりお休みをしていましたが、またツアーの合間をみて書き始めます。

5月の下旬、何年かぶりに上高地のニリンソウ群落を見に行きました。
氷壁の宿「徳沢園」に泊まり、のんびり、ゆっくり初夏の上高地を歩きました。

梓川河畔

東海環状と東海北陸道を乗り継ぎ高山へ、平湯の「あかんだな駐車場」から
濃飛バスに揺られて新緑の上高地に入る。
夏は大勢の登山者や観光客で賑わう上高地もこの時季は静かなたたずまい。

薄曇りながら寒さは感じられず、カラマツとシナノザサの小径を歩いた。
足下に咲いていたのはユリ科のクルマバツクバネソウ。

さて、この緑の花の花弁はどれか、わかるかな?

クルマバツクバネソウ

萼片と花弁がよく似てはっきりしないものは「花被片」と呼ぶようであるが、
そのうち萼片らしきものは外花被片、花弁らしきものを内花被片とするようだ。

それで、この花の外花被片は緑色をして、やや幅が広く下へと垂れ下がった部分だ。
内花被片は外花被片の間から下へと湾曲したひも状の部分であるが、確認できるかな?

雄しべは黄色の部分で、雌しべは黒色で秋には羽子板の羽根に似た実をつける。

ニホンカモシカ

「ん?、何やら見られている気配」 ふと見ればニホンカモシカ君ではないか。
国の特別天然記念物である。 捕らわれる心配がないことを知っているのか
いつも遠くからじっと僕たちを見ていることが多い。
そして、僕たちも気づかぬまま通り過ぎていることが多い。

「歩きながらよくそんな小さな花が見つけられるね。」と、よく言われる。
これは「フォース」と呼ばれる「理力」であるらしい。

場数を踏み、慣れてくると自然に見えてくる「心の目」のようなものだ。
研ぎ澄まされた感性、それは自然観察によって備わってくる能力である。

ニリンソウの小径

大正池から田代池を経て「帝国ホテル」辺りに差し掛かるとやっとニリンソウが見られた。
他にはシロバナノエンレイソウ、ミヤマスミレ、ウスバサイシン、アオチドリなどなど。

小梨平を過ぎると道は細くなり、両サイドはニリンソウで埋め尽くされていた。
今回の「自然塾」の目的のひとつは「ミドリニリンソウ」を見つけることであった。

緑の中に緑の花、目を皿のようにして探し始めたが・・・・意外と簡単に見つけられた。

ミドリニリンソウ(1)

葉と花が同居している。 君は花なの? それとも葉っぱなの?
白くトリミングされた美しいミドリニリンソウと出会った。

キンポウゲ科の植物には花弁のように見える部分が花の構造としては萼片であったりする。
キンポウゲ科はまだ進化の途中にある植物と考えられている。

永い間、植物は風に花粉を運んでもらっていたが、地球に昆虫の時代がやってくると
受粉の手段を虫に託した方が効率が良いと考え、花をつけるようになった。

今まで葉であったものが萼片や花弁や雄しべや雌しべにと変化させていった。
緑の花はもともと葉であったものが先祖帰りしたにすぎない。

花弁の数も形も配色も様々あり、見つけ出すのがとても楽しい作業であった。

ミドリニリンソウ(2)

明神を過ぎ、徳沢近くで再び梓川の左岸が近づくとベニバナイチヤクソウの群落がある。
しかし、今年はまだ一輪も咲いていなかった。 ここもまた花は遅れていた。

そして、もうひとつ楽しみにしていたのは徳沢にあるハルニレの花だった。
いつも鈴なりとなった果実しか見たことがなかったので、どんな花をつけるのか
是非、見てみたいと思ったが・・・・花はもうすでに終わっていた。

どうも花は3月~4月頃に咲き、ひと月で果実となってしまうようだ。
一見、若葉の芽出しのように見えるが、これは翼を持った果実「翼果」である。
翼の中央に種子が透けて見えるのがわかるだろうか。

時折、そのハルニレの大樹に猿が群れてハルニレの果実をむさぼるように食べていた。

ハルニレの果実

標高1400m~1600mにある上高地では春先によく猿の群れを見かける。
それはエサとなる芽吹いたばかりの軟らかな芽が豊富にあるからだ。

しかし、季節が進むと徐々に葉は堅くなる。 すると猿たちは若い芽を求めて高度を上げ
やがて槍ヶ岳の下まで上ってゆく。「山に登るだけならサルでも登る」のだ。

賢い、賢いホモ・サピエンスは山頂を踏むことだけを目的とした登山ではなく、
もう少し自然に目を向けた登山ができたなら、もっと山を楽しめることだろう。

上高地の猿

近年、上高地の猿は随分増えたように思われる。昔は登山道より奥の林で見かけていたが
近頃は登山者や観光客のすぐ近くで頻繁に見られるようになった。

暖冬で雪が少なく、ほとんどの猿が飢えることなく冬を越すことができてしまうのだろうか。
それにしても登山道で人のすぐ横を猿がすれ違っていく光景は異常な感じがしてならない。

もともとこの地は猿の暮らすエリアだが、どこまでが共存という許された範囲なのだろうか。

シウリザクラ

上高地で見るべきものの最後に「徳沢園」の玄関前にあるシウリザクラがある。
里山で咲くウワミズザクラの高所版といったところだろうか。
ウワミズザクラと比べると葉も大きければ、花穂も長く伸びる。

粗雑な造りのようにも思えるが、ここ穂高の岩峰を背にするとこの花は実に美しい。
あるべきところにある花なのだろう。
この花の開花は6月で、残念ながらニリンソウと同時に見ることはできない。


地上の星のごとく林床へ無数に敷き詰められたニリンソウの白い花。
その中に埋もれ、誰もが気づくことなく通り過ぎてしまう緑のニリンソウ。

天敵オオカミから解放されたニホンカモシカ。 年々増え続ける野生の猿たち。
太古の昔から脈々と引き継がれてきた大切な大切な命が息づいている。

そんな自然を間近に感じ取れる上高地。是非、この時季に上高地を訪れ
あなたの目で、あなたの心で日本の自然美を堪能して欲しいと思う。







スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

No title

おはようございます。
上高地、良いですね、また行ってみたくなりました。
杉浦さんと今からすれば大昔、行った思い出が
よみがえりました。
では又!!!

No title

こんにちは!
久々の訪問です。
緑いっぱいの上高地、いいですね~
ニリンソウにニホンカモシカくん…和みました!!

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
プロフィール

杉浦直樹

Author:杉浦直樹
『自然塾』塾長の杉浦直樹です。
日本自然保護協会
自然観察指導員

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。