スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

利尻・礼文花ハイク

毎年6月に恒例となった北海道は利尻・礼文の花ハイク。
昨年に続きガイド兼添乗員として出掛けることになったが
今年は取分け忘れられない旅となった。

お客さんはいつもより少ない9名だった。 あっ、昨年もそんなものだったかな?
主催する旅行会社にすれば採算的な問題はあるものの僕たちガイドや
添乗業務をする者にとっては歓迎すべき人数だった。

マイピクーチャー 456

中部国際空港から稚内空港へ、 飛行時間は2時間の予定だったが
近づきつつある台風の風の影響なのか20分も早く稚内に降り立った。
ローカル空港ながら地平線と水平線が見える空港である。

利尻島へ渡るフェリーの出航までには時間があり、近くの宗谷岬を訪ねた。

慰霊碑

宗谷丘陵で最も目を引くのは天を突くかのように立つこの塔である。
折鶴をモチーフにした白い塔を囲む鮮やかな花の名は「アルメリア」
別名「花かんざし」だ。

この塔は1983年9月、領空を侵犯したとしてソ連軍機により撃墜された
大韓航空機の犠牲者を追悼する慰霊碑である。
日本人28名を含む乗っていた269名全員が死亡する痛ましい事故だった。

宗谷岬1


海岸まで下りるともうひとつ小さな石碑が置かれている。
ボタンを押すと、♪流氷とけて~ 春風吹いて~ ハマナス咲いて~♪
と、ダ・カーポの優しい歌声が聞こえてくる。

この歌は叙情的な歌詞といい、ゆったりとした曲調といい
何とも心穏やかにさせる。

潮の匂いと優しい歌声に包まれ、心ほぐれるひとときである。
北海道で山以外にも僕の好きな場所はあり、そのひとつがこの宗谷岬だ。

最北の地に立ち、大海原を目の前に望めば誰もが感慨ひとしおであろう。
曇り空であったが、サハリンの島影がはっきりと見えた。

どこまでも広がる北の海、平和を絵に書いたような穏やかな景色だが
その海の彼方には深い悲しみが沈んでいる。 好きな場所ではあるが
海が穏やかであるがゆえにやるせなさを募らせる場所でもある。

マイピクーチャー 429

稚内港から利尻島の鴛泊港まではフェリーで1時間40分の船旅だ。
洋上から見る利尻山は凛々しく「利尻富士」の名にふさわしい姿をしている。
フェリーが港に近づくにつれ右舷デッキにはカメラの列が並んだ。

利尻山は標高1721mのコニーデと呼ばれる成層火山の山である。
アイヌ語の「リ・シリ」は「高い島」を意味し、島そのものが山のようだ。

マイピクーチャー 442


翌朝、小さなパーティは空模様を気にしながらも利尻山の北麓登山口へと向った。
朝はまだ5時20分、トドマツとエゾマツの針葉樹林帯へと歩き始めた。

間もなく林床にはオオナルコユリ、ツバメオモト、ホウチャクソウ、
マイヅルソウなどが次々と見られ、みんなから歓声があがった。

そして、一番よく目にしたのは木の幹に絡みつく三枚の葉「ツタウルシ」だった。
秋になると鮮やかな紅葉を見せるが、ウルシの中でも最もひどくかぶれる。

利尻島でも礼文島でも登山道脇にたくさんのツタウルシが茂っているけれど、
この葉だけは覚えておいて触らないようにしよう。

マイピクーチャー 457

こちらも北海道に多く見られるニレ科の「オヒョウ」という木の葉だ。
葉の先が3~5裂し、特徴ある葉なのですぐに見つけられるだろう。

アイヌの人たちはこの樹皮を細かく裂きアツシという織物をつくる。
このような植物は強靭な樹皮を持つことから「靭皮植物」という。

マイピクーチャー 438

6合目まで登ると視界をさえぎる木々は無くなり、一気に展望が開ける。
ここまで約2時間30分、眼下に鴛泊港を見下ろすことが出来た。

時折聞こえるフェリーの汽笛を耳に、さらに8合目の長官山を目指す。
ふと振り返れば、青い海に小さなフェリーが白い航跡を描いていた。

八合目・長官山

8合目、長官山から見る利尻山の山頂部。 ここまで約4時間、ここからが本番だ。
谷筋にはいつもの年よりも雪が多く残り、北の孤峰をより一層際立たせていた。

登り始めに少し雨に降られたが、次第に天気は回復して薄日が射すようになった。
まだ雨の雫を花弁に宿したチシマフウロの花。 遠くうっすらと礼文島がみえる。

チシマフウロ

樹林帯の中ではクロツリバナやウコンウツギなど木の花が多かったが、ここまで登ると
エゾノハクサンイチゲを始め、エゾエンゴサク、ミヤマアズマギク、キクバクワガタ、
イワベンケイなどの草本類が見られるようになった。

マイピクーチャー 432

午前11時30分、利尻山に登頂。 北麓登山口から約6時間を要したことになる。
「よかったね」 「よく登ったね」の言葉が口々をついて出た。
さっそく宿で頂いたおにぎりをほおばると、みな笑顔で記念写真に納まった。

30分の休憩の後、再び同じ道を5時間かけて下ったが、みんなよく頑張った。

利尻の宿は漁師の営む旅館、バフンウニ、ボタンエビ、ホッケ、リシリコンブなど
食べきれないほどの海鮮料理で祝杯を挙げ、大いに盛り上がった。

桃岩遊歩道

翌日は利尻島から礼文島に渡り、礼文岳(490m)に登った。というよりハイキングだった。
さらには花の楽園である桃岩歩道にも足を伸ばし、礼文の花を楽しんだ。

さて、礼文岳の登山口で見られたこの花、何の花かわかるかな?

果実は赤く熟し甘い、辛い、苦い、酸い、しょっぱいと五つの味があるという。
漢方薬にも使われるが果実酒がいいようだ。 花にもよい香りがある。

チョウセンゴミシの花

これはマツブサ科のチョウセンゴミシ(朝鮮五味子)の花である。 五つの味で五味子なのだ。
う~ん、五つの味か。 この酒で酔ったらどんな夢を見るのだろう。

桃岩歩道を歩いたのは1時間ほどであったが、レブンウスユキソウ、レブンコザクラ、
レブンソウ、レブンハナシノブ、レブンシオガマなど礼文の固有種をあますことなく見た。

なぜ固有種がこれほど多いのか? それは島という隔離された地域だけで長期にわたり
交配が繰り返され独自に進化したからだとされる。

桃岩を背に色鮮やかな花はマメ科のセンダイハギだ。 他に見られた花はチシマフウロ、
ネムロシオガマ、レブンキンバイソウ、サクラソウモドキなどなど。 
種類は多く見たがいつもの年より量が少なく感じられた。 今年も花は遅れていた。

センダイハギ

礼文島の民宿もまた食べきれないほどの海鮮料理。北海道は山ばかりでなく
豊かな海の幸をたくさん頂けるのも魅力である。

今回は少人数でまとまりがよく、明るい性格の方がそろっていて絶えず笑いがあった。

ツアーの雰囲気を盛り上げるのも添乗員の仕事である。しかし、今回のようなツアーは
飛行機の搭乗手続きやフェリーの乗船手続きや宿の部屋割りなど雑務が多くあり、
なかなか充分な気遣いが出来ない。

そんな時メンバーの中にひとりでも明るい方がおられるとツアーはなごみ、
僕らは救われる。 今回はまさにそのケースだった。

マイピクーチャー 440

天気もそこそこ、曇り空であっても常に利尻山が見えていた。 すべてが順調に運び
いっぱいのお土産といっぱいの思い出を持って帰るのみに思えたこのツアー、
しかし、そんなに甘くはなかった。

稚内空港で手荷物を預け優先搭乗が済み、あとは僕たちが乗るだけあったのに
突如、中部国際空港行きは欠航となった。 台風による悪天候だった。

急遽、羽田行きに変更となる。 預けた荷物をターンテーブルから出てくるのを待ち、
それを受け取るやいなや羽田便の搭乗手続きに走り、再度手荷物検査を受ける。
そのまま羽田に飛んでくれればいいのに、機材のやりくりなのだろう。

何とか羽田便に間に合い、羽田からは帰宅ラッシュで混雑するモノレールで浜松町へ。
そして、お客さんには東京駅から各自、新幹線で帰っていただいた。

しかし、まだまだ終わっていなかった。 乗った新幹線は浜松ー豊橋間で臨時停止、
強風により運転見合わせとなり、風が弱まるまで線路上で1時間以上も停まった。
何度か停電にもなり、車内は非常灯のみで空調も止まる始末。「最後の落ちはこれか!!」

やっとのことで当日中には名古屋に着き、自宅に帰れたけれど長い一日であった。
何事もなかなか筋書き通りにいかないものだが、それもまた楽しみとしょう。
3泊4日の「利尻・礼文花ハイク」きっといい思い出となることだろう。











スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

自然塾カメラマンの池澤です

いやー海鮮たべたいですねー! チョウセンゴミシの酒と合いますかね?? 利尻・礼文、佐渡、小豆島などなど塾長と御一緒しましたが、日本の島は旅の中でもやはり特別なものがありますね。
8月はおそらくずっと富士山になりそうですが、状況を見てまた連絡させていただきます。2012もシーズンが本格的に到来ですねぇー!

No title

利尻の花は可憐です、そっと咲いてる感じがいいです!
山の天気がもって良かったですね。
天気がどうなんだろうかと心配してました。
ではまた!

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
プロフィール

杉浦直樹

Author:杉浦直樹
『自然塾』塾長の杉浦直樹です。
日本自然保護協会
自然観察指導員

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。