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ウスユキソウの涙/早池峰山

梅雨空の最中、岩手県の山を3つ登る「東北ツアー」が出た。
八幡平(1613m)、岩手山(2038m)、早池峰山(1914m)の3つだ。
6月30日、午前9時50分、ANAの翼は仙台空港に下り立った。

空港の横を南北に高速道路が通っているが、その道の海側の田んぼは
未だに耕作されず茶色の土がむき出しのままであるのに対し、
山側の田んぼは稲の緑が眩しく、その光景はとても対照的だった。

八幡平と岩手山は僕にとって、何と大学の夏合宿以来の登山となる。
テントとユースホステルを利用した学生ならではの貧乏旅行、
雫石町の網張温泉から藤七温泉までの長い、長い縦走だった。
「若かったなぁ、あの時の先輩は今どうしているだろうか。」

八幡平のヒナザクラ

ガイドは地元の女性ガイドで、冬も山スキーで八幡平に入るという方で
3つの山を詳しく案内していただいた。

1座目は秋田と岩手にまたがる八幡平だった。
八幡平はなだらかな山容で沼や湿原が点在し、多くの湿性植物が見られる。

東北地方の雪田の融雪跡を代表する花はこのヒナザクラ(サクラソウ科)だ。
広大な湿原は無数の白い花で埋め尽くされていた。
 
 『 雪解けて 谷地なお白く ヒナザクラ 八幡平の 風に揺らぎて 』

シラネアオイ

東北自動車道の盛岡IC辺りを過ぎると目の前に大きな山体が飛び込んでくる。
複式火山であるが、その美しい山容は「南部富士」とも呼ばれる岩手山だ。

2座目は岩手県の最高峰、岩手山だった。 石川啄木にも愛された山である。

岩手山の花は何といっても焼走りコースに見られるコマクサ群落であるが
マイヅルソウやサンカヨウも群生しており、こちらも見事であった。

そして、予想外に多く見られたのがこの花、シラネアオイだった。
中部地方に暮らしていると、この花は日本海側の花というイメージが強い。
見かけるときはいつも群生をなしていることも嬉しい限りだ。

花弁は無くて、よく目立つ紫色のものは萼片である。1科1属1種の日本固有種だ。
無数の雄しべに囲まれた2個の雌しべが見えるだろうか。

安比グランド

ここは東北地方でも有数の温泉地帯で、近くには松川温泉、藤七温泉、
後生掛温泉、蒸ノ湯(ふけのゆ)など趣のある温泉地がいくつもある。

今回のツアーはお客さん20名、スタッフ4名の大所帯で安比高原の
「安比グランドホテル」に宿泊となった。

八幡平の裾に広がる安比高原に開発されたリゾート地で、広大な敷地に
スキー場やゴルフ場などが併設されていた。

部屋やお風呂が綺麗なことはもちろん、料理が美味しかったことに加え
午前4時30分から朝食を用意していただけたのが登山者には何より嬉しかった。

蛇紋岩

2泊3日の東北ツアー、3座目は少し離れた早池峰山に登った。
早池峰山は北上山地の最高峰、蛇紋岩やカンラン岩から成る特殊な山だ。

朝は4時に起床、4時30分からの朝食を済ませるとすぐにバスに乗り込み
早池峰山の小田越登山口に向った。

蛇紋岩はマグネシュウムを多く含み、植物の水分吸収能力を低下させるとされ
樹木はあまり育たず、この地だけに育つ特殊な植物が見られる。

ハヤチネウスユキソウ1

早池峰山を代表する花は何といってもこのハヤチネウスユキソウだろう。
ウスユキソウ属の中で最も大きな花をつけ、ヨーロッパのエーデルワイスにも近い。

エーデルワイスはドイツ語で「高貴な花」を意味する。 白は気品ある白だ。

 『 朝もやの 露の雫も 玉にして けがれを嫌う 薄雪の花 』

ミヤマオダマキ

樹林帯を抜けると登山道は滑りやすい蛇紋岩の岩道となった。
それと同時にその日はすぐに風の影響を受けることになった。

高度が上がると次第にガスに包まれて、辺りの視界はなくなった。
そんな過酷な自然環境にあってもたくさんの花を見ることができた。

よく見られた花はミヤマオダマキ、ミヤマキンバイ、ミヤマシオガマ。
特にミヤマオダマキの青紫色は鮮やかで何度もシャッターを押させた。

ナンブトラノオ

これは早池峰山の固有種であるタデ科のナンブトラノオ。
よく見かけるイブキトラノオよりも草丈は低く、花穂も太い。
 
他には地味ではあるがミヤマヤマブキショウマの花も見られた。

蛇紋岩の植物では黄色い花をつけるナンブイヌナズナや
ヒロハヘビノボラズなど。

ハヤチネウスユキソウ2

今回登った3座の中で僕が最も印象に残ったのは早池峰山だった。
天気はあまりかんばしくなかったけれど高山植物が多く見られることも、
巨岩や巨石が露出した独特の山容も興味深く心に残った。

厳しい環境に耐え生き残った植物たちの力強さを見ることができた。
これらの植物はなぜ蛇紋岩の荒地を住みかとするのだろうか。

栄養豊かな地に住めばもっと楽に暮らせたはず、
神はなぜこの高貴な花を荒地に配したのだろう?

  『 ままならぬ この世の定め 無情なり 花も涙の 露 宿すかな 』


またまた、つたない歌にお付き合い下さりありがとうございました。
次は北海道の大雪山の旅です。 では、次のツアー便りまで。











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富士山より

富士山七合目の鳥居荘でガイドと小屋番中の池澤です。 塾長の写真と歌が2900メートルから閲覧できるスマートフォンは便利ですね。 富士山は今日は暴風雨で、従業員は囲炉裏を囲んでゆっくり本を読んでいます。 山小屋の生活は楽しいです。
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杉浦直樹

Author:杉浦直樹
『自然塾』塾長の杉浦直樹です。
日本自然保護協会
自然観察指導員

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