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不思議発見 「君は誰?」

ご無沙汰しておりました。 皆さんもお変わりなく元気で大人の遊びを楽しまれていたでしょうか?
富士の雪解も見られる頃となり、しばらくお休みしていたブログに再び目を向けたしだいです。

街中にあってもすがすがしさを感じる季節、山にあっては新緑がまばゆい季節。
この時期、家でじっとしていろと言うのは無理な話、三日と空けず野山を駆け回る日々。

5月の定例行事はオオミスミソウの佐渡島。今年はツアーではなく個人ガイドで佐渡に渡った。
4名のお客さんをアオネバから石花へとご案内した。小回りが利き、野生のトキにも出会えた。

休耕田近くの枯れた高木に2羽とまっていた。 頭から背にかけての灰色は繁殖期の証し。
 「がんばれ、ニッポン!!」  トキの学名はニッポニア・ニッポンだ。

野生のトキ

そして、もうひとつの行事はニリンソウの上高地。 5月下旬~6月上旬、梓川左岸の自然探勝路
の両脇はおびただしい数のニリンソウで埋め尽くされる。

今日は僕が上高地で出会った花たち「君は誰?」を解説していきます。

小梨平から明神を経て徳本峠への分岐を過ぎると探勝路は増々緑が濃くなっていく。
梓川の川面はきらめき、河畔のヤナギもカツラの若葉も初々しい。 風薫る5月を肌で感じ取る。

心地よい鳥の鳴き声に足を止めその主を探すと、そこには色鮮やかなキビタキの姿があった。
喉元からお腹にかけてのオレンジ色がはっきりと見てとれる距離だった。 
ピッコロを奏でるような美しい鳴き声に美しい羽、天は二物を与えたもうた。

ふと、足元を見ると緑のマントをまとった怪しいふたり、「君は誰?」

サンカヨウ

これはサンカヨウの蕾、漢字では「山荷葉」と書く。 荷葉とはハスの葉を指し「山の蓮」ということ。
確かにサンカヨウの葉は花と比較すると大きいが、どちらかと言えばフキに似ている。
和名で理解しがたい言葉は漢名からきていることが多い。漢方・生薬が由来しているのだ。

続いてはこちら 「真上から失礼」 ふっくらと膨らんだ白い米粒 「君は誰?」

ツバメ

これはツバメオモト(ユリ科)の蕾。 亜高山帯のやや暗い針葉樹林の中でよく見かける。
ユリ科は3数性、花被片は6個あるが展開する前はこんなに小さくおさまっているのだ。
果実は濃い藍色に熟すものと黒く熟すものがある。 何故かな?

近年、上高地の主役になりつつある猿、今回もたくさんの猿たちを見た。
 「おい、ちょっと火を貸してくれないか?」 「禁煙しろってやかましく言われているけどね。」

DSC00062.jpg

冬に上高地に入るとエゾヤナギの樹皮をむいて食べる猿や梓川の河原で小石をひっくり返し
水生昆虫を食べる猿をよく見かける。
厳しい冬を耐えた猿たちは春にようやく美味しい草の茎や木の芽を食べられるようになる。

親子猿

人間を警戒しなくなった上高地の猿たち、母猿は何を見つめているのだろう。
子猿のうつろな顔と対照的だ。 その子猿の肩を抱く母の左手が何とも微笑ましい。

 「あんた、また煙草吸って、この子に影響するんだからね。」 「もう知らないよ。」
猿は冬の間、妊娠しており餌が採れる春に出産する。 すべては自然の摂理の中にある。

そして、初夏の上高地で忘れてはならない花がこちら。
ニリンソウの葉で埋め尽くされた緑一色の林床で見つけた小さな花、「君は誰?」

ミドリ

これはミドリニリンソウと呼ばれるニリンソウが「先祖返り」した花で特別の花ではない。
上高地では注意して探せば比較的らくに見つけ出すことができる。

「先祖返り」とは生物が進化の過程で失っていった形質が子孫において突然現れることをいう。
キンポウゲ科の植物はまだ進化の途中にあり、ニリンソウの白い花弁状のものも萼片である。

続いてはこちら、地中から何本もの細い紐状のものが立ち上がっていた。 「君は誰?」

コチャルメ

これはコチャルメルソウ(ユキノシタ科)の花だ。 魚の骨ような花が実に面白い。
果実の形が夜鳴きそばのラッパ「チャルメラ」に似ることからチャルメルソウの名がついた。

地域によっていろいろなチャルメルソウがあり、日本においてはその数およそ11種。
最も多く見かけるのがこのコチャルメルソウだろう。 

小さな花にも花粉を運ぶ虫はちゃんとやって来る。 どんな植物にも共生する昆虫がいるものだ。 
チャルメルソウの相手はキノコバエ。 足が長いのでハエというより蚊に似ている。

花が魚の骨のようになっているのは足の長いキノコバエが足をかけ易く配慮したのだろう。
自然とは恐ろしいほど理に適っている。 そこからすると人間社会は矛盾だらけかも知れない。

二輪草

上高地バスターミナルから徳沢までの往復4時間、これでもかという程のニリンソウを見た。
他にもミヤマエンレイソウ、ザリコミ、エゾムラサキ、レンプクソウ、ミヤマキスミレなどが見られた。

その夜は新穂高温泉に宿をとり、山菜と飛騨牛をいただき満腹感と幸福感に包まれて熟睡。
翌日、飛騨の福地山1671mに登った。 穂高連峰を目の前に望む展望の山である。

天気は快晴、早る心をおさえ登山口へ、尾根まで上がると焼岳が顔を出した。
深山に春を告げるムラサキヤシオが咲く登山道、ブナの若葉が陽光を透かして輝いていた。
そして、ここにも不思議発見、「君は誰?」があった。

ブナハ

 「おやっ、ブナの葉に美味しそうなデザートが!!
ふわふわの産毛を身にまとった赤い玉、砂糖をまぶしたお菓子のよう。
これはいったい誰が造った芸術作品なのか?

アカゲ

これはブナハアカゲタマフシ(橅葉赤毛玉付子)というブナの葉につく虫こぶだ。
この中にはタマバエの幼虫が暮らしている。 いろんな虫こぶがある中でも美しい虫こぶである。
幼虫が羽化すると虫こぶは落下するためこの季節しか見られない。
この登山道一帯のブナの葉には数えきらないほどのブナハアカゲタマフシが見られた。

ブナの若葉にあまりに目立つ鮮やかな色、タマバエは何故この色を選んだのだろう?
秋に熟す木の実は殆どが赤い、それは種子の運搬役である鳥に見つけてもらうため。
この虫こぶ、外敵に食べられてしまわないだろうか?

あっ、そうか。 これはタマバエが選んだ色ではなく、ブナが対抗措置として
タマバエの虫こぶをあえて赤くし、鳥に取り除いてもらうための色だったのか。 
なるほど、深く探れば自然は本当に面白い。

登頂することだけに捉われず五感を働かせて山に登ればいろんなものが見えてくる。
こんなに楽しい大人の遊びは他にないだろう。
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(^ ^)良いですね

杉浦さん、ご無沙汰しています。お元気そうですね。5月の佐渡や上高地はのんびりとお花を楽しみながら歩けて良いですね。久しぶりに歩きたいと思う今日この頃です。
今回は池澤さんのFacebookから杉浦さんのブログをみつけましたー。またのぞかせてもらいます!

No title

再開おめでとうございます。
いつもながら杉浦さんの着眼点はたのしいですし、なあるほどと、思わずコックリ。
わたしは上高地ばなれで、ニリンソウの絨毯が見たくなりました!
写真で我慢しましょう

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プロフィール

杉浦直樹

Author:杉浦直樹
『自然塾』塾長の杉浦直樹です。
日本自然保護協会
自然観察指導員

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