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文化・歴史の旅

秋の長雨とはよく言われるが大抵の場合は9月中旬から10月上旬頃に続く雨を言う。
なのに今年は少し早いではないか。 8月の下旬から雨や曇天が続いた。
おかげで予定していた山行はすべて流れてしまった。

9月上旬は北穂高岳を案内する予定だったが、ここにきてまた二つの台風である。
3000m級の山に雨は危険が伴う。 登山を諦め観光へと切り替えた。

飛騨古川

今回の登山は北アルプスとあって3泊4日の日にちを組んでいた。
観光に切り替えたのはいいが4日間もどこへ行こうか。

遠方から来ていただくお客さんをがっかりさせてはいけない。
まず向かったのは「三寺参り」や「起し太鼓」で知られる飛騨古川の街だった。

瀬戸川

高山より北へ車で30分ほど行くと飛騨古川はある。
観光客でごった返す高山と違い、訪れる人は少なく静かな街歩きが出来る。

街を流れる瀬戸川は約400年前に新田開発のために造られたという。
農業用水だけでなく防火用水や流雪溝としても重要な役目を果しているが
城下町の落ち着いた風情にも一役買って、今は古川の顔にもなっている。

雲

古川の街を歩いているといつも家々の軒下に目が行く。
軒を支える腕木に木の葉や草模様が彫られ白く塗られているのだ。

これは「雲」と呼ばれる装飾で古川の大工の誇りを示す紋章である。
自分が建てた家には同じ「雲」を施すという。
それにしても木材をふんだんに使った家々が多いのに驚かされる。

四反田

高山の伝統的建物保存地区の上三之町でも街歩きをするが人ごみは好まない。
宿は少し離れた丹生川の旅館「四反田」さんに泊まった。
ここも立派な伝統民家造りの宿である。

四反田 玄関

翌日も小雨模様の空であったが、丹生川から安房トンネルを抜けて松本に出た。
次の目的地は長野・善光寺だった。

松代・武家屋敷

長野インターから僅か10分の所、ここにも静かな城下町がある。
六文銭で名高い真田幸村の松代藩だ。

雨ということもあり通りを歩く人は殆ど見られず、より一層静かな武家屋敷があった。
来年のNHK大河ドラマは「真田丸」だとか、この静けさも今だけのことであろう。

来年、大挙して訪れる観光客のうち何人の人が今から紹介する遺跡を見るだろうか?
平穏な佇まいの武家屋敷の裏山には忘れてはならない戦争の遺跡が残されている。

象山地下豪

これは太平洋戦争末期、日本軍が本土決戦に備えて極秘のうちに掘られた
「松代象山地下豪」という大本営跡である。

地下壕は見学者の安全のためヘルメット使用で一部だけの公開になっているが
想像する以上に大規模な施設である。

これには多くの朝鮮人が強制労働者として使われていた。
平和な世界が続くことを願い無料で公開されている。
日本人が見ておくべきこと、知っておくべきことがここにある。

善光寺

そろそろお昼、お勉強の後はお腹がすいた。 松代の北、小布施へと向かう。
栗の産地、小布施で外せないのは栗菓子と栗おこわ。
「桜井甘精堂」の栗わっぱ御膳をいただき、善光寺落雁を買う。

善光寺まで来るとやっと青空が顔を出した。 何日ぶりのブルースカイか!!
「食べ物にひかれて善光寺参り?」 善光寺の門前には和菓子「風月堂」がある。

玉だれ杏

長野はアンズの産地、杏を求肥で包んだ銘菓「玉だれ杏」をお店でいただく。
ばら売りがあり、なおかつお店でいただけるのが観光客には嬉しい限りである。

今宵の宿は長野の温泉を代表する渋・湯田中温泉郷にある「よろづや」さんだ。
到着するや否や早速、よろづやさん自慢の「桃山風呂」に浸かる。

脱衣所から湯船の建屋にいたるまですべてが木造であることに目を見張る。
首まで湯に沈み、手足を思い切り伸ばせば疲れがあふれる湯とともに流れて
いくようであった。

桃山風呂

3日目の朝、宿の窓から外を覗くと意外にも青空があった。
長野市民の山・飯綱山には雲がかかっていたが、志賀高原方面は晴れていた。
あわよくば笠ヶ岳か横手山に登れるかもしれない。

標高2172mの渋峠(日本国道最高地点)まで車を走らせると、やはり霧だった。
蓮池のほとりのナナカマドは僅かに色づき秋を装いつつあった。

蓮池

次の目的地は少し離れるが金沢の街を予定していた。
飯山から上越に出て北陸道を西へと向かうが、飯山にもちょっとした見どころがある。

登山者

それは「高橋まゆみ人形館」である。 
この人形作家の造る人形は何とも味わい深いものがあり、人の心を惹きつける。
お年寄りや子供の顔の表情は実に素朴で体型や仕草もよく特徴を捉えている。

さすが、唱歌「ふるさと」の生まれた土地である。 山の景色も人も郷愁を誘う。

ことじ灯篭

そして、新幹線開業で今年最も話題を集めた街・金沢にやって来た。
まずは近年、一番集客の多い美術館と言われる「金沢21世紀美術館」へ向かった。

プール

これは「スイミング・プール」と題されたトリックアートのような作品だ。
地上から見ると満水のプールのようだがプールの内部には地下から出入り出来る。

雲を測る

こちらは「雲を測る男」と題された作品。
独房で鳥類学者になった実在の囚人の言葉から発想された作品だとか。
定規を掲げる彼は何を考えて空を見ているのだろう。

夢二館

金沢での宿は市内から車で30分、金沢の奥座敷と言われる湯涌温泉に泊まった。
山間に旅館9軒ほどの小さな湯の里はかつて加賀藩・前田家のご用達湯であった。

また、美人画で知られる竹久夢二と彦乃がしばらく逗留した地でもあり
「金沢湯涌夢二館」が温泉街の中ほどに誇らしげに建っていた。

ひがし茶屋街

最終日となる4日目は金沢市内を散策することになった。
金沢観光の定番である兼六園や金沢城辺りはそこそこに
是非とも行きたかった場所は、ひがし茶屋街のお茶屋さんであった。

お茶屋

ここは国指定の重要文化財のお茶屋さん「志摩」である。
町家の造りとは異なり押し入れや間仕切りはなく、遊びを楽しむための優美さを
追求した部屋であることが伺える。

壁の色、小窓の竹格子、柱の釘隠し、襖の引手の七宝など細部にわたり
粋なしつらいを感じると同時に格式の高さも感じられた。

中庭

こじんまりとバランス良く植栽された中庭にも何故か目が留まった。
町方の社交場と言っても琴、三味線に舞と舞踊、さらに茶の湯から俳諧まで
幅広く高い教養がなければ遊ぶことが出来なかった。

そんな茶屋の一角で僕たちは立礼式(りゅうれいしき)でお抹茶をいただいた。

お茶菓子

運ばれてきたお茶菓子はツユクサをあしらったものだった。
ん?、ツユクサは夏の花ではないか、と思われるだろうがツユクサは和歌でも
秋の花として読まれることが多く、俳諧でも秋の季語とされる。
(う~ん、高い教養が求められる。) 添えられていた緑のモミジも納得である。

お抹茶

ほんのひと時、穏やかな時の流れであった。
観光客で賑わうひがし茶屋街の喧騒も、僕たちが旅の途中であることも忘れ
静かにお茶を楽しんだ。

きんつば

ここひがし茶屋街には金沢を代表する和菓子屋さんが何軒か店を構えている。
中でも「中田屋」さんのきんつばは絶品である。さほど甘くなくアズキの粒も大きく
全国に数あるきんつばの中でも一番おいしいであろう。

お茶屋 志摩

金沢など歴史ある街は古くから茶の湯の文化があり必ず老舗と言われる
和菓子屋さんが存在し、銘菓と呼ばれる和菓子が多くある。

それはご当地の素材を使った逸品であったり、名所からヒントを得た洒落た
名前のお菓子だったりする。

季節を写し、目を楽しませ、舌を喜ばせる。 そこには野趣を解する繊細な心と
職人の知恵が凝縮されている。 旅の達人ともなれば地方のそれを見逃さない。

茶屋街

出発の2日前に行き先が変更となり、急きょひねり出したプランは温泉旅行というか
和菓子行脚の旅というか確かな目的のある旅ではなかった。
しかし、日本の文化や歴史を訪ねる内容は盛りだくさんであったように思う。

走行距離も1000キロを超えて登山と変わらぬ体力を使ったが個人的には
充実の4日間であった。
果して、遠来のお客さんは満足されただろうか。
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3泊4日お疲れ様でした。
金沢行きたいのですが来年、一年後ですね新幹線のブームが治るまでダメでしょうね

文化・歴史の旅

 今回、観光ツアーになっても登山に劣らない楽しさを発見できてよかったですね。最初の行き先に高山でなくて古川を撰んだところがいいですね。丹生川の旅館は立派なとこですね。松代の大本営跡を訪ねたのは意義深いことです。「戦争に何の意味があるのか」人々に後々の世まで伝えていかなければいけないこの遺跡の役割は貴重です。小布施は以前に車で通過しただけだったので、近いうちにぜひ訪ねて栗おこわをいただきたいと思います。温泉に泊まるとホっとします。私にとって旅といえば温泉につかることなので。3年ほど前に笠ケ岳の麓にある熊の湯温泉の熊の湯ホテルに
2泊しました。このホテルはお勧めです。次回泊まる時はホタルを見にいくつもりです。近くにあるサマーリフトで上がってから渋池を通って四十八池という湿原までハイキングしました。飯山でのお人形さんはまるで生きているようですね。金沢では盛りだくさんでしたね。ひがし茶屋街で、ただ歩くだけでなくお茶屋さんを見学したのは有意義でした。目立たないところに意匠
をこらす日本文化の奥ゆかしさを実感します。日本文化の究極の奥深さは、やはり総合芸術であるお茶の精神にあると私は思います。なので、中庭のたたずまいを鑑賞してお抹茶とお菓子をいただいたことは、金沢のエッセンスを体験して最高でしたね。ツユクサが秋の季語とは知りませんでした。いろいろな土地の和菓子を訪ねるツアーもいいかも。茶室の床の間に飾る茶花の中にはけっこう高山植物もあるのではないですか。急きょひねりだしたプランにしては車での山越えがあって自然にどっぷりつかったり、また金沢では文化の香りに包まれ一方で人形館や美術館など芸術も堪能し申し分のないツアーだったと思います。1000キロ、お疲れ様でした。

お客様はおそらく穂高をとても楽しみにされていてそして悪天候で落胆…

でも、代わりとなった中部北陸歴史旅⁈は思いがけず素晴らしい思い出しとなったのでは、と想像します。
そして、ガイドさんのこのブログを読んで更に感慨深い思いでいらっしゃるのでは…

五感に刺激と安らぎを与えてくれそう。山でもふもとでも、旅はいいですね!
引き続き秋の山も気をつけてお楽しみくださいませ。

わたくしも来月北陸旅、行ってきます。
プロフィール

杉浦直樹

Author:杉浦直樹
『自然塾』塾長の杉浦直樹です。
日本自然保護協会
自然観察指導員

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